【更新履歴】
2018年5月2日:「公開会場実施(仮称)」「1日完結型(仮称)」名称決定を受けて、記事内の名称も変更しました。
2020年度から導入される大学入学共通テストで認定される英語民間試験が発表されました。
”認められたのは、「ケンブリッジ英語検定」(ケンブリッジ大学英語検定機構)「英検」(日本英語検定協会)「GTEC」(ベネッセコーポレーション)「IELTS」(ブリティッシュ・カウンシルなど)「TEAP」(日本英語検定協会)「TOEFL」(米ETS)「TOEIC」(国際ビジネスコミュニケーション協会)の7種類。”
しっかりと「英検」(日本英語検定協会)の文字があるのに、なぜか「英検落選」というニュースが飛び交っています。
→こちら:英検「落選」に衝撃 高校教諭「最も身近な試験なのに」|朝日新聞デジタル
この衝撃的な見出しのせいか、教育関係者の中でも「あの英検が落選…?」「英検以外の民間試験に対応しなくては…!」と動揺が広がっています。
しかし、ちょっと待ってください!
今回認定されなかったのはあくまで従来型英検のみ。新型英検はちゃんと認定されています。
そして、英検協会がリリースした新型英検の特徴を見る限り、特に従来型英検が認定されなかったからといって大きな問題はないです(後で詳しく説明します)。
→新型英検について詳しくはこちら:「大学入試英語成績提供システム」参加要件 確認結果を受けて|日本英語検定協会
「英検が落選した!どうしよう!」と戸惑いを隠せない人たちからの問い合わせが殺到しているのか、英検協会HPには声明文まで発表されています。
”どうかご心配なさらないでください。
従来の英検は、今まで通り引き続きご利用いただけますので、ご安心ください。また、このたび採用となりました、新方式におきましても、運営方法以外は、従来の英検と問題構成や級認定、技能別スコア等、全く同じものです。”
私たちESL clubの見解も「今まで通り英検は日本人学生にとって最も活用しやすい資格試験」で変わりありません。それは従来型英検が大学入学共通テストの認定から落選しても同じです。
あまりに「英検が落選した!もう英検は使えない!」という誤解が飛び交っていますので、本記事では今回認定された新型英検についてと、従来型英検が落選した上での2020年度大学入学共通テストに向けた新型英検活用法をESL club独自の視点でご説明します。
(尚、本記事の内容はあくまで私たちESL clubの意見をお伝えしているのであって、決して入試改革制度の将来を保証するものではありませんので、予めご了承ください。)
目次
- 従来型英検が落選した理由とは?
- 新型英検とは?(英検2020 2days S-interview・英検2020 1day S-CBT・英検CBT)
- 【新型英検その①】 「英検2020 S-interview」は「受験者全員が面接を受ける従来型英検」
- 【新型英検その②】 「英検2020 1day」は「従来型英検の一次試験+録音式スピーキングテスト」
- 【新型英検その③】 「英検CBT」は「全てPCで受験する従来型英検」
- 従来型英検が落選した影響はほとんどない
- 【理由①】 新型英検の問題構成・難易度は従来型英検と同じである
- 【理由②】 新型英検は英検2020 S-interviewで攻めれば、従来型英検と同じ対策でOK
- 【理由③】 高校3年生になるまでは従来型英検で英語4技能を高め、試験慣れしておけばいい
- 今回の「従来型英検落選」を受けてもやっぱり英検が一番使いやすい
こちらもあわせてご覧ください
従来型英検が落選した理由とは?
従来型英検では、一次試験で受験者のリーディング・ライティング・リスニングの3技能を評価し、一次試験合格者のみが二次面接試験でスピーキングを評価します。
※5級、4級にライティングはありません(導入予定)。
※5級、4級は面接ではなく任意受験のスピーキングテストです。
つまり、従来型英検では一次試験に合格できなかった受験者のスピーキング力は評価しないのです。
この特徴が、「1回の試験で英語4技能の全てを評価するものであること」という大学入学共通テストで利用できる英語民間試験の認定要件を満たさなかったわけです。
逆に言うと、この「一次試験合格者しか二次試験に進めない」という点のみが問題だったのであり、別に「従来型英検が英語4技能を評価するのに適していない」というわけでは決してないということです。
ですから英検協会は、「1回の試験で英語4技能の全てを評価」できる新型英検を用意したわけです。
新型英検とは?(英検2020 2days S-interview・英検2020 1day S-CBT・英検CBT)
では、新型英検とはどういったものなのでしょうか。
詳しくは以下をご覧ください。
(なお、「公開会場実施(仮称)」は「英検2020 2days S-interview(略称:英検2020 S-interview)」、「1日完結型(仮称)」は「英検2020 1day S-CBT(略称:英検2020 1day)」に名称が決定しました。)
→参考:「公開会場型(仮称)」・「1日完結型(仮称)」名称決定のお知らせ|日本英語検定協会
出典:今後の実用英語技能検定(英検)の試験概要|日本英語検定協会
「細かくてよくわからない!」という人のために、「ここだけは押さえておいて!」という点をざっくり説明します。
まず、今までの従来型英検の他に、新型英検が3種類(英検2020 S-interview・英検2020 1day・英検CBT)導入されます。
新型英検全てに言える従来型英検との違いは以下の通りです。
従来型英検では、一次試験(リーディング・ライティング・リスニングを評価)の合格者のみが二次面接試験(スピーキングを評価)に進める。
つまり、一次試験が不合格だった受験者は1回の試験で英語4技能が評価されない。
新型英検では、全ての受験者がリーディング・ライティング・リスニングだけでなく、スピーキングも評価される。
つまり、1回の受験で英語4技能が評価される。
では、3つの新型英検を簡単にご説明します。
【新型英検その①】 「英検2020 S-interview」は「受験者全員が面接を受ける従来型英検」
英検2020 S-interviewは最も従来型英検に近い新型英検と言えます。
従来型英検は一次試験合格者のみが二次面接試験に進めましたが、英検2020 S-interviewは「受験者全員が二次面接試験を受験する従来型英検」と考えてもらえれば大丈夫です。
【新型英検その②】 「英検2020 1day」は「従来型英検の一次試験+録音式スピーキングテスト」
英検2020 1dayは従来型英検の一次試験にあたるリーディング・ライティング・リスニングは従来型英検と同様ペーパー式ですが、スピーキングは面接ではなく録音式になります。
つまり、英検2020 1dayは「従来型英検の一次試験+録音式のスピーキング試験」といったところです。
【新型英検その③】 「英検CBT」は「全てPCで受験する従来型英検」
英検CBTは全てPCでの受験になります。
リーディング・リスニングの4択問題は選択肢をマウスでクリックして選び、ライティングはタイピング入力になるでしょう。そしてスピーキングは録音式です。
つまり、「英検CBT」は「全てPCで受験する従来型英検」と言えます。
従来型英検が落選した影響はほとんどない
「新型英検になることで、色々と対策が必要になっちゃうんでしょ?」と不安な方もいるかもしれません。
しかし、新型英検の特徴を見るに、従来型英検落選の影響はほとんどないと考えます(特に「英検2020 S-interview」を選べば)。
理由は3つあります。
【理由①】 新型英検の問題構成・難易度は従来型英検と同じである
そもそも英検協会が今回出した声明文で新型英検の問題構成は従来型英検と同じだと言っています。
”どうかご心配なさらないでください。
従来の英検は、今まで通り引き続きご利用いただけますので、ご安心ください。また、このたび採用となりました、新方式におきましても、運営方法以外は、従来の英検と問題構成や級認定、技能別スコア等、全く同じものです。”
難易度についてはどうでしょう?
英検はCEFRという国際基準規格に対応しています。
※「CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)」は言語レベルを示す国際基準規格です。A1(初学者)からC2(熟練者)の6段階に分けられます。
CEFRに対応しながら、同じ級で従来型英検よりも新型英検の難易度を上げるといったことはまずありえません(「問題構成は同じにしながら、問題難易度だけ変えてくる」といったことをする英検協会側のメリットも見当たりません)。
ですから、新型英検の問題構成と難易度は従来型英検と同じと見てまず問題ないでしょう。
【理由②】 新型英検は英検2020 S-interviewで攻めれば、従来型英検と同じ対策でOK
3つある新型英検ですが、その中でも「英検2020 S-interview」がオススメです。
なぜなら、今までの従来型英検に向けた対策を続けておけば、他の対策が全くいらないことが予想されるからです。
では、英検2020 1dayや英検CBTはどうか?
英検2020 1dayで気になるのはスピーキングが録音式な点です。
録音式だと、録音時間内に自分の伝えたいことが言い終えられない可能性があります。
TOEFL iBTを受験されたことがある方はわかるかと思いますが、厳密な制限時間内に自分の意見をまとめて話し終えるというのは、面接で自分の意見を伝えるのとはまた別のスキルが必要です(やってみるとわかるかと思いますが、厳密な録音時間内に自分の意見をまとめて言い終えるというのは日本語でも難しいです)。
「もう少しだけ時間があれば、理由がもう1つ言えたのに間に合わなかった!」「途中で少しつっかえちゃったから時間が足りなかった!」ということは録音式スピーキングテストでは度々起こります。
つまり、スピーキングが録音式になることで、単に英語のスピーキング対策だけでなく、制限時間内にうまく自分の意見をまとめ言い終える練習が必要になってくる可能性があるのです。
英検CBTはどうでしょう。
まず、スピーキングが録音式である点が英検2020 1dayと同様です。
また、英検CBTではライティングがタイピング入力になります。
タイピングが遅い人は圧倒的にライティングで不利になります。つまり、タイピングが遅い人は、ライティング対策以外に英語でのタイピング練習が必要になるのです。
つまり受験者によっては、「英検2020 1day」と「英検CBT」では従来型英検とは異なる対策が必要になる可能性があるのです。
その点、英検2020 S-interviewはリーディング・ライティング・リスニングが従来型英検同様ペーパー方式ですし、スピーキングも面接なので、従来型英検と同様の方法で十分に対策できます。
【理由③】 高校3年生になるまでは従来型英検で英語4技能を高め、試験慣れしておけばいい
「でも英検2020 S-interviewは高校3年生しか受験できない。だったら、年齢制限のない英検CBTの方がいいのでは?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。
そもそもですが、暫定の英語民間試験利用ルールでは高校3年生の4月〜12月に2回までしか受験できないことになっています。
→こちら:英語民間試験へ移行期間4年 大学入試新テスト最終案 |日本経済新聞
なので、「高校3年生になる前に英検CBTで目標級に受かってしまえばいいんだ!」という方法は使えません。
そして、先ほどお伝えした通り英検2020 S-interviewであれば従来型英検と同様の対策で十分である可能性が非常に高いです。
そうなると、
①高校3年生になるまでは従来型英検を受験し、
・志望校が求める英検級レベルまで英語4技能を高めておく
・英検2020 S-interviewに向けて試験慣れをしておく
②高校3年生になったら英検2020 S-interviewを受験し、志望校が求める英検級に合格する
といった学習戦略がとれます(例えば、高校2年生の段階で、一度志望校が求める英検級に従来型英検で合格しておけばかなり安心できるでしょう)。
認定からは落選したものの今までの形で(一次試験合格者しか二次面接試験に進めないという形で)、従来型英検が残ったのはむしろ良かったのかもしれません。
認定から外れた原因は「合格者しか二次面接試験(スピーキングの評価)を受けられないため」です。
しかし、そのおかげで(スピーキング試験にかかる英検協会側のコストが下げられるため)、従来型英検の受験料は他の資格試験に比べ安いままなのです。
つまり、高校3年生になるまでに比較的安い従来型英検をできるだけ多く受験することで英語4技能の段階的に高めつつ、本番となる公開会場実施の試験慣れもできてしまう、ということです。
ですので、高校3年生になるまでは学校や学習塾で実施される従来型英検をフル活用すればいいのです(もちろん本会場で従来型英検を受けてもOKです)。
「高校3年生になるまでは従来型英検、高校3年生になったら英検2020 S-interviewで受験」
この学習戦略であれば従来型英検が落選しようが何の問題もありません。
【志望校が英検準1級を求めている場合の従来型英検と英検2020 S-interviewを用いた学習戦略】
今回の「従来型英検落選」を受けてもやっぱり英検が一番使いやすい
今回の英検落選というニュースは衝撃を持って受け止められましたが、その原因は「従来型英検は認定されず、新型英検のみが認定された」という事実よりも「英検落選の衝撃」というニュース見出しのせいという感が否めません。
新型英検の特徴をしっかり理解すれば「別に英検全体は落選していない」ということは明確です。
そして、今回の新型英検が認定されたということ以外にも、やはり英検が英語学習者(特に英検準1級以下)にとって最適である理由があります。
→詳しくはこちら:ESL clubが生徒の英語力を引き上げるために「英検」を活用する理由
つまり、新型英検について理解を深め、かつ、従来型英検を引き続き活用しながら、最も効果的に英語4技能を高められる学習戦略を立てることが大切になっていきます。
ESL clubでは生徒の英語4技能を劇的に引き上げるために英検を活用しています。
英検を活用して短期間で英語力を大幅に伸ばし、海外進学を達成した生徒もいます。
→詳しくはこちら:【小学生で英検®︎2級】ABCから2年半で英検®︎2級。その後、アメリカの中学校進学を勝ち取った話。
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