こんにちは、英語を教えない英語塾『ESL club』です。
フォニックスは、ネイティブスピーカーが行っている英語の発音学習方法です。日本でも幼児や小学生の英語学習で重要視される一方で、「フォニックスは意味ない」と言われることも少なくありません。
その理由は、フォニックスは効果的な勉強方法であるものの完璧ではないからです。フォニックス学習効果を十分に発揮するためには、フォニックス以外の勉強方法で一部補ってあげる必要があります。
今回は、フォニックスとは何かをあらためて振り返ったうえで、フォニックスは意味ないと言われる理由を5つ紹介します。
また、英語を教えない英語塾『ESL club』の考えや、おすすめの英語学習方法も解説しました。子どもにフォニックスを学ばせたいと考えている方、自身がフォニックスを学ぼうか悩んでいる方は、ぜひ最後までチェックしてみてください。
目次
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フォニックスとは?
フォニックスは、英語のつづりと発音の規則性を学び、英語を正しく発音し、文字を読めるようになるための勉強方法です。
まずは、フォニックスを学ぶメリットや基本ルールを簡単に紹介します。
※フォニックスの概要についてすでに知っている方は、読み飛ばしていただいて構いません。
フォニックスを学ぶ重要性・メリット
フォニックスを学ぶメリットは、初めて見た英単語も正しい発音で読めるようになることです。
最も一般的な英単語の1つ“apple”を参考に、フォニックスの重要性について考えてみましょう。
日本語では「りんご」は“り・ん・ご”の3つの音の組み合わせで成り立っています。“り・ん・ご”の読み方は1つだけで、例外はありません。「あ・い・う・え・お」とひらがなの音を覚えてしまえば、漢字やカタカナでない限り、全ての文字を正しく発音し、読むことができます。
一方、英語の場合“apple”の正しい読み方は「アップル」ですが、これを日本語の「ひらがな読み」のようにアルファベットというたった一つのルールで読もうとするとどうなりますか?
「エーエーピーエルイー」
まさか“apple”をこう読む人はいないとは思いますが、「日本語のひらがな読みのように、アルファベットというたった一つのルールで読めばいいんだ」というのは英語では通用しないわけです。
我々は学校で英語を学んだ経験があるので“apple”=「アップル」と分かります。しかし英語をほとんど学んだことがない幼児や小学生にはその感覚は分かりません。
また大人でも“apple”の読み方は分かっても、初見の単語の読み方が分からないケースはあります。
初めてみる英単語の正しい発音を予測するために必要なのがフォニックスです。(なぜ「予測」とここであえて言っているのかは、この記事を読み進めていただければわかると思います。)
フォニックスの基本ルール
例えばフォニックスでは、Aは「ア」、Bは「ブ」、Cは「ク」など、A〜Zまでの基本的な読み方が1つずつ決められています。
※英語発音は厳密にはカタカナ表記できません。今回は説明の都合上、あえてカタカナ表記にしています。実際にフォニックスを学習するときは必ず正しい発音の音声を使いながら学びましょう。
以下の動画で、アルファベットがフォニックスではどのように発音されるかを確認できます。
この基本ルールにくわえて、アルファベットの並びによって複雑な読み方をすることもあります。
綴りが母音+子音+eで並んだ場合の「サイレントe」、子音+子音で並んだ場合の「連続子音」などのルールが代表的です。
フォニックスの発音のルールは、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
関連記事:フォニックスとは?発音表からルールまで!子供に英語を学ばせたい保護者が知っておくべきことを英語塾責任者が徹底解説!
フォニックスが意味ないと言われる5つの理由
フォニックスは英語の単語を正しく発音できるための優れた勉強法と支持される一方で、「フォニックスは意味がない」という反フォニックス派の人もいます。
果たしてフォニックスは本当に意味がないのでしょうか?フォニックスはどうして意味がないと言われてしまうのでしょうか?
ESL clubで実際に生徒たちに英語を教えてた経験、また私が20歳からのやり直し独学で英検1級を習得するために発音を学んだ経験から述べると、「フォニックスは意味がない」と言われる理由は以下の5つです。
- フォニックスだけでは例外(サイトワード)に対応できないから
- 発音は分かっても意味は分からないから
- ホール・ランゲージと比較されるから
- 日本だと英語のシャワーを浴びる環境が整っていなから
- カタカナを使って解説されるから
それぞれ詳しく見ていきましょう。
フォニックスだけでは例外(サイトワード)に対応できないから
フォニックスを学べば、初めて見た単語の発音が分かるようになります。しかし、全ての単語の発音が分かるようになるわけではありません。
英単語の中には、フォニックスのルールが当てはまらない「例外」が存在します。例えば“live”をフォニックスのルールに沿って発音すると「ライブ」ですが、実際の発音は「リブ」です。
上記のように、フォニックスのルールに当てはまらない単語のことを「サイトワード(Sight word)」と呼びます。
サイトワード(Sight word)とは?:“Sight”=「視覚」、“word”=「単語」なので、“Sight word”は「ルールではなく視覚で音を丸暗記する単語」という意味。
実際に英語ネイティブの子供たちは、フォニックスとサイトワードの両方を学びます。英語ネイティブが学ぶサイトワードは以下の通り。
(出典:SIGHTWORS.com)
フォニックスを学んでもサイトワードの発音は分からないので「フォニックスは意味ない」と言われるのです。
確かにフォニックスを学んでもサイトワードの発音は分かりません。しかしだからと言って「フォニックスは意味ない」と考えるべきではありません。なぜなら例外はありつつも、フォニックスは単語の発音を予測するうえでは重要なルールだからです。「フォニックスも必要だし、サイトワードも必要」と考え、両方学習してしまうのが望ましいです。
フォニックスは有効な学習法ではありつつも、万能ではないのです。
発音は分かっても意味は分からないから
フォニックスを学べば、初めて見る英単語の発音が分かるようになります。しかし初めて見る英単語の意味までは分かりません。
よってフォニックスだけを学んでいる子供は、洋書を声に出して読めるようになっても、本の内容までは理解できないのです。
少しややこしいので、日本語を例に考えてみましょう。
例えば日本語の「不動産」という単語。不・動・産はそれぞれ小学4年生までに習う漢字です。よって小学5年生以上であれば「不動産」を直感的に「ふどうさん」と読めます。しかし「不動産」の意味までは分かりません。
発音に加えて意味も予測できるようになるためには、英単語の語源に関する知識が必要です。
例えば“injection”「注射する」という英単語は、以下3つの語源から構成されています。
- in(中に)
- ject(投げる)
- ion(もの)
(体の)中に投げる(入れる)もの=注射する
また“project”「映し出す」という英単語は、以下2つの語源から構成されています。
- pro(前に)
- ject(投げる)
前に投げる=映し出す
“in” “pro” “ject” “tion”の意味を知っていれば、“injection”や“project”の意味をある程度予測できるのです。これをフォニックスと組み合わせれば、初見の単語の発音と意味の両方を予測できます。
これは日本語に例えると「偏(へん)や旁(つくり)」のようなものです。我々は知らない漢字でも「人偏(にんべん)だから人に関することかな?」「草冠(くさかんむり)だから草や花に関することかな?」と推測しますよね。
ただし“in(中に)”、“pro(前に)”くらいは知っていてもいいかもしれませんが、本格的に語源を学ぶのはおすすめできません。特に物事を理論的、体系的に学ぶことが困難な幼児や子供にとっては、難易度が高すぎるからです。
では、子どもたちはどのようにフォニックスと単語の意味を覚えていく学習を進めていくのがいいのでしょうか。
それは「イメージ」を使って覚えていくことです。
フォニックスで正しい発音習得の足場を作り、ある程度フォニックスを学んだら英語の絵本など簡単な文を読んだり、イラスト付きのテキストで単語を音と文字を使って学んでいくと、正しい発音と意味を同時に学んでいくことができます。
そういった異なる学習とフォニックスを組み合わせていくことで、効果的に子どもたちの英語力は伸びていきます。
具体的な学習方法については、後述しますね。
ホール・ランゲージと比較されるから
フォニックスとよく比較される勉強方法として、ホール・ランゲージ(Whole Language)があります。
ホール・ランゲージ(Whole Language)とは?:フォニックスのように1つ1つの音を学び、その組み合わせとして発音を学ぶのではなく、単語全体を見て読み方を学んでいく方法のこと。
フォニックスとホール・ランゲージどちらが優れているかの論争は、現在でも続いています。「ホール・ランゲージの方が優れている」と考えている方の中には「フォニックスなんて学んでも意味ない」という意見を持っている方もいます。
しかし現在では「フォニックスの方が優れている」という意見の方が優勢です。例えばアメリカ国立小児保健発達研究所の調査によると以下のように言われています。
フォニックス抜きの教育や embedded phonics にくらべて、フォニックスは読み方を教えるのに有効である。また、社会的・経済的地位の低い生徒にとって特に有益であることも発見された。
(引用:Wikipedia)
ホール・ランゲージに関する情報は、日本語で検索してもあまり出てこないのが現状です。英語が読める方で、ホール・ランゲージに関する知識を深めたい方は英語で“phonics vs whole language”と検索してみるといいですよ。
日本だと英語のシャワーを浴びる環境が整っていないから
英語圏の子供たちは、フォニックスで英語を学びます。
「まだ言語を習得していない段階では、英語圏の子供も日本の子供も変わらない。よって日本の子供にも英語圏の子供たちと同じようにフォニックスを学ばせるべきである。」
上記は一見正しいように感じられます。しかし、日本と英語圏では日常的に触れる英語の量に圧倒的な差がある点を考慮しなければなりません。
英語圏の子供たちは、英語の音に十分に慣れた状態でフォニックスを学びます。英語に全く触れたことがない日本の子供にフォニックスを教える際は、この点を考慮する必要があります。
定期的に英語の動画や音声を聴かせるなどして、十分な英語のインプット環境を作りながら、フォニックスを学ばせてあげましょう。
そうすることで無意識にインプットしている英語の音のルールが、フォニックスによって体系的な理解に変わっていきます。
結果として、フォニックスの学習効果も上がっていきます。
カタカナを使って解説されるから
日本のフォニックス教材の中には、カタカナを使って発音を表記するものがあります。例えば“phonics”であれば「フォニックス」と表記します。
しかし「フォニックス」の「フ」の音は、実際にはカタカナの「フ」ではありません。上の歯で下唇を軽くおさえて“f”と発するのが正しい発音です。
小学生以上の方がフォニックスを学ぶ際は、英語圏のフォニックス教材ではなく、日本のフォニックス教材を使うべきです。しかし日本のフォニックス教材を使ってカタカナに頼ると「フォニックスを学んだのに発音があまり上手にならなかった…」となりかねません。
日本のフォニックス教材を使う際は特に、文字だけに頼らず音声を使いながら学習するといった意識が必要です。
「フォニックスは意味ない」に対するESL clubの考え
「フォニックスは意味ない」と言われる理由を5つ解説しました。
ここで、フォニックスを教えているESL clubの「フォニックスは意味ない」に対する考えをお伝えします。
フォニックスは万能な英語学習方法ではない
フォニックスは万能な英語学習方法ではありません。よって「フォニックスさえやっておけば子供の英語は問題なし」ということもありません。
本記事でも紹介した「フォニックスではカバーできないこと」を再度まとめると以下の通りです。
- フォニックスでは例外(サイトワード)は学べない
- フォニックスでは英単語の意味までは理解できない
フォニックスはリーディングや発音の基礎を身に付けるための優れた勉強方法です。しかしフォニックス以外にもやるべきことはあります。
ESL clubでもフォニックスはあくまで「“音→単語”および“単語→音”を推測する足掛かり」と位置付けています。
そのため、フォニックスを100%マスターすることは目標としていません。ある程度英語の音が推測でき、音から文字が推測できるようになったら、フォニックスは卒業します。
フォニックスに加えて音と意味を結びつける学習が必要
フォニックスはあくまで音と文字を結びつけるルールです。フォニックスを学んだだけでは、音や文字と単語の意味は結びつきません。
よって、フォニックス(音⇄単語)に加えて、単語の意味も学習すべきです。
ESL clubでは、フォニックスと同時並行で、単語を学習します。学校の単語学習のように強引に単語と意味を丸暗記させるのではなく、音を聞いてイラストを見て、音とイラストのイメージを結びつけることから始めます。
最初から“cat”=「猫」と教えるのではありません。以下の画像のように、まずは音とイメージを結びつけます。(“cat”という音が聞こえたら猫のイメージが瞬間的に浮かぶように練習を繰り返します。)
そしてフォニックスの学習が進むにつれて、イメージから、だんだんと文字を音と結びつける学習にシフトします。(“cat”を見たら、“キャット”と正しい発音で読めて、かつ瞬間的にイメージ浮かぶ状態をつくっていきます。)
そうすることで最終的には、文字を見て正しく英語を発音できるだけでなく、文字を見てその単語の意味がイメージとして思い浮かぶようになります。
ESL clubの受講生も、最初は全く英語の文字を読めません。しかしフォニックスと基礎単語の学習を進めていくにつれて、スムーズに洋書を読み進められるようになっていきます。
フォニックスを取り入れたおすすめの英語学習方法
フォニックスの効果を発揮するには、具体的にどんな学習方法が適しているのでしょうか。
ESL clubがおすすめするフォニックスの学習方法を3つ紹介します。
英会話教室(対面・オンライン)
講師や他の生徒と一緒にフォニックスを学べる、英会話教室がおすすめです。
講師が子どものモチベーションや学習状況をしっかり見守ってサポートしてくれるので、独学が向いていない子もフォニックスを身につけることができます。
マンツーマンや少人数の教室であれば、発音をより丁寧に指導してもらえるでしょう。
教室によっては英単語の発音だけでなく、意味やスペルも一緒に身につくので、スピーキング技能の基礎を固める効果を期待できます。
最近では教室での対面レッスンだけでなく、オンラインレッスンを取り入れている幼児〜小学生向けの英会話教室も増えています。
そのため、オンラインレッスンを活用して、全国からカリキュラム内容や講師の質が優れた教室を選ぶことも可能です。
英語を教えない英語塾の『ESL club』でも、フォニックスを取り入れた英語学習を行っています。
バイリンガル講師によるオンラインレッスン風景の動画を以下の記事で紹介していますので、ぜひご覧ください。
関連記事:ESL clubレッスン動画まとめ
英語学習アプリ
音声を聞いて耳で発音を覚えながら、イラストやスペルなども一緒にゲーム感覚で学べるのが英語学習アプリです。
フォニックスが学べるアプリで、おすすめしたいのは以下の4つです。
- 幼児向け :Starfall ABCs(App store/Google play)
フォニックスファンデーション-ABCサウンド(App store) - 小学生向け:Pinkfong ABCフォニックス(App store/Google play)
ABC MAGIC PHONICS(App store)
どれも無料でダウンロードできるので、お手持ちのスマートフォンやタブレットから手軽にスタートできます。
文字を読むのが難しい幼児も、音とイラストである程度理解できるので、まるで絵本の読み聞かせのようにアプリを楽しむことができます。
また、学習記録が残るアプリであれば、保護者が子どもの学習状況を把握しやすくなります。
1点注意してほしいのは、スマートフォンやタブレットを使った学習は子どもの集中力が問われることです。
途中で飽きてYouTubeを見たりゲームをはじめてしまったりする可能性もあるので、子どもに任せきりにせず、保護者が適宜サポートしながらフォニックスの学習を進めましょう。
テキスト
ネイティブの子どもが使うテキストで、フォニックスを学習する方法もあります。
フォニックスを学べるテキストはさまざまですが、なかでもDVDやCDつきのものがおすすめです。
映像を見たり音を聞いたりするところからはじめられるため、ネイティブスピーカーと同じようにフォニックスを身に付けることができます。
ESL clubがおすすめしているフォニックス教材は、『Sounds Fun!』です。
目次や問題文もすべて英語で書かれたオールイングリッシュ教材で、オーディオCDを聞きながら一緒に発音することで、フォニックスの発音を学べます。
イラストや4コママンガなどのビジュアル要素も豊富にあり、演習問題もたくさんあるので、フォニックスの定着を助けます。
関連記事:無料あり!幼児〜小学生向けフォニックス教材本・アプリ・DVDおすすめ8選
フォニックスをテキストで学習する際は、ライティングやリーディングなど、フォニックス以外のものを学べる教材も一緒に取り入れるのがポイントです。
また、アプリと同じく学習を進められるかは子どものモチベーションに委ねられるため、保護者がサポートしてあげると効果的でしょう。
まとめ
フォニックスは意味がないと言われる5つの理由と、ESL clubの見解について解説しました。
この記事の結論をまとめると以下の通りです。
- フォニックスは有効な勉強方法だが、フォニックスだけでは不完全である。
- フォニックスに加えて、英単語の意味やサイトワードを覚える必要がある。
市販のフォニックス教材で学べるのは、フォニックスだけです。それ以外の部分は各自で何とかしなければなりません。
一方ESL clubでは、フォニックスのみならず、英語の音と意味とイメージ全てを結びつけるところまでカバーしています。興味がある方は、ぜひ無料体験レッスンを受けてみてください。オンラインでも受講可能です!