あなたの知らない英語ディベートの世界。-小野暢思さん対談

「英語を自由に使いこなし、世界でも活躍できる人になる」その夢をかなえる場所が、ESL clubです

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英語ディベートという競技があるのをご存知でしょうか? 日本語で言えば「討論」。学級会でクラス内の揉め事について話し合ったことを思い出したり、テレビの討論番組を思い浮かべる方もいるかもしれません。「ただでさえムツかしそうなのに、英語でやるなんて絶対にムリ」と思ってるとしたら、もったいない!実は英語ディベートには、子どもたちの教育に活かせる要素がいっぱいなんです。

 

「英語の習得はもちろん、コミュニケーション上達にも効果があるんです」と教えてくれたのは、国内外の英語ディベート大会で日本人最多の優勝回数を誇り、現在はディベートコーチとして活躍する小野暢思(おのみつし)さん。日本人の知らない英語ディベートの世界について、お聞きしました。聞き手はESL clubの岡山です。

 

小野暢思(みつし)さんプロフィール

パーラメンタリーディベート全国大会での32回の優勝(史上最多)、World University Debating Championship(世界大会)での部門準々決勝進出など、国内トップクラスの実績を誇るディベーター。国内大手企業、外資系企業に務めた後、現在はシンガポールでベンチャーの立ち上げを行う一方プロディベートコーチとして、全国各地で中学生から大人まで英語ディベートの指導を行っている。

 

岡山太プロフィール

英語を教えない英語塾「ESL club」事業責任者 兼 個別指導No.1明光義塾英語教科責任者。大学院生時代にJAXAにて高校生向け教育プログラム「きみっしょん」のリーダーを経験したことから、「教育を変えたい」と考え教育業界へ。長期留学経験なし、国内独学で英検1級・TOEFL iBT 100点を達成。自身の英語学習経験を生かし、ESL clubのオリジナルカリキュラムを構築。二児の父。

 

 

ディベートは“論破”する競技じゃない

岡山太(以下、岡山):いきなりなんですが、小野さん、ご経歴から想像していたよりもずっと穏やかで驚きました。テレビの討論番組のイメージのせいかもしれませんが、「ディベートをする人(以下、ディベーター)」ってちょっと話しづらいというか、怖い感じの方がいらっしゃるかもと身構えていたので……。すみません、でも安心しました(笑)

 

小野暢思さん(以下、小野さん):いえいえ、そういうイメージありますよね(笑)昔の日本語ディベートにはそういうノリもあったみたいです。強めの口調で相手を威圧したり、早口で理屈っぽくまくし立てたり……。そういうシーンがテレビなんかでもいっぱい流れたので、「ディベーターってなんか怖い」っていう印象が根付いちゃったのかもしれません。

 

岡山:まさに! すぐ「論破!」って言われちゃうんじゃないかなって(笑)

 

小野さん:それもよく言われます(笑)。でも実は、ディベートでは相手を論破すること自体には特に意味がないんですよ。

 

岡山:そうなんですね! でも競技というからには、勝ち負けがあるんですよね。どうやって勝敗を決めるんですか?

 

小野さん:ジャッジの採点と投票です。ディベートはあるトピック、例えば「タバコは全面禁止すべきだ」みたいなトピックに対して、肯定チームと否定チームの二手に分かれて議論し合う競技です。

 

ただ、当事者同士でどっちが勝ったか決めようとしても、公平に決められないじゃないですか。自分たちが勝ったって言うに決まってるので。だから第三者であるジャッジが、どちらの意見により説得されたか採点し投票するんです。

 

 

岡山:スポーツでいうと、野球やサッカーみたいに直接相手と戦う対人競技より、体操とかフィギュアスケートのような採点競技に近いんですかね。

 

小野さん:そうですね。お互いの発言に質問や反論をし合うので対人的な側面もけっこうあるんですが、最終的に判断をするのはジャッジなので。

 

だから相手に「まいった!」と思わせてもぜんぜん意味がなくて。論破してやろうって発言のアラ探しばっかりしてる人にあんまり賛同したくないじゃないですか。むしろ多少つたない発言からでも真意を汲み取ってあげて、より深めた議論する人のほうがずっと好感が持てますよね。

聴いてる人たちに「そうだよね」「この人たちのほうが賛同できる」って思わせることに集中したほうがいいんです。

岡山:たしかに、揚げ足取りばっかりしてる人にはなんの共感もできないですよね。だから論破は意味がないんですね。

 

シリア難民から、アイドルの恋愛まで、何でも議論する

岡山:なんだか実社会と似ているようにも思います。

 

小野さん:もともと議会をモデルにしたものだからですかね。ディベートは大きく分けると即興型と準備型があるんですが、僕が取り組んでいるのは即興型、別名パーラメンタリーディベートと呼ばれるもので、これは“Parliament=英国議会”が語源です。


議会では与党と野党が政策について議論し合いますよね。有権者はその議論を見て、どちらを支持するか決めて、選挙で投票します。ディベートもこれと同じなんですよ。

 

岡山:そうすると、議論するテーマは政治関連のものが中心なんですか?

 

小野さん:そこはもう本当にいろいろですよ。議論のテーマをディベート用語で“Motion=論題”って呼ぶんですが、絶対的な正解がない事柄なら、なんでも論題になります。
たとえば「シリアに国連は介入すべきだ」のような本当に議会で話されそうな真面目なものはもちろん、「結婚という制度はなくなるべきだ」みたいな身近な論題もあります。おもしろいところでは、「アイドルの恋愛は禁止されるべきだ」という論題もありましたね。

 

岡山:本当にオールジャンルなんですね! 論題は事前に知らされるんですか?

 

小野さん:いえ、スピーチ開始の15~20分前です。

 

岡山:え!?そんなに直前なんですか? となると、あまり詳しくない論題を出された場合はどうするんですか?

 

小野さん:自分が勉強してまとめたノートや文献などの紙媒体は持ち込み可能です。でもネットや本で調べることはできないので、基本的には自分の知識のなかからどうにかするしかないですね。違う国の似た話を引き合いに出したり、文化や政治の面から切り取ったり……。

 

 

岡山:ちなみに、小野さんはアイドルの恋愛についてどう思いますか?

 

小野さん:それを取り上げますか(笑)。僕は恋愛してもいいと思いますね。被雇用者のプライベートな生活まで雇用側縛る権利はないですから。

 

岡山:なるほど。そういう権利とかの話に落とし込むんですね。

 

小野さん:何を話してもいいんですよ。個人的に好きなアイドルの話やファンとしての心境を語ってもいいし、労務契約の適用範囲公人の権利のようなちょっと難しいところから踏み込んでもいいですし。よりジャッジの心を動かせそうだと思うことを話せばいいんです。
何が刺さるかは主観なので、絶対的な正解はありません。自分の中に全くなかった論点で勝つチームもあって、常識とか価値観みたいなものが揺さぶられるのがおもしろかったりします。 

 

学校がテロ組織養成所⁉ 国際大会で出会った常識崩壊体験

岡山:あるジャッジには響いたのに、別のジャッジにはぜんぜん響かないみたいなこともありそうですね。

 

小野さん:そうですね。ジャッジはある程度、ディベートを聞きなれている人が務めることになっていて、評価がバラつきすぎないようには考慮されています。

 

ですが、そうは言っても一人ひとりちがう人間なので、評価を完璧に揃えるなんていうことはできません。特に国際大会ともなると、ジャッジもいろんな国の方が担当するので、そこでローカルな話をしても伝わらないことが多いですね。反応が悪いときは表情でなんとなく分かるので、その場の判断で話題を変えることもありますよ。

 

中国のチームが中国国内のある村のエピソードを話していたことがあったのですが、聴いてる人たちはみんな、全然わからないって顔してて。そこでアメリカの政治関連の話に例を変えたら、ジャッジが頷きはじめたんです。

 

岡山:いろんな国の方というと、どういう地域の方が多いんですか? 

 

小野さん:言葉通り、世界中ですね。アメリカ人だったり、韓国人だったり、ナイジェリア人だったり。もちろんジャッジだけじゃなく、ディベーターもです。欧米で生まれた競技ですが、アフリカやアジア含め世界的にかなり盛り上がっています。日本はアジアのなかでも普及が遅れているので、盛り上げていかなきゃと思っているところです。

 

岡山:文化や環境が違う人が集まると、いろんな意見が出てきそうですね。さっきも常識が揺らぐってお話がありましたが、国際大会だとそれがより顕著になるんじゃないかと。となると、常識が崩壊した体験みたいなのがあるのかな?と思ったのですが。

 

小野さん:ありますねえ(笑)。特に大きな衝撃を受けたのが、「発展途上国での児童労働を許すべきか、許さないべきか?」という議論をしたときのことです。

 

相手はたしか、ケニアのチームだったかな。僕は許さない側で、「労働するより学校行ったほうがいい、教育を受ける機会を奪っちゃいけない」的なことを主張したわけです。
そうしたら相手が「そもそも通える距離に学校なんてねえし」と言ってきて。そこまず1回、常識崩壊ですよね(笑)。学校ないんだ、みたいな。

 

岡山:なるほど、労働やめたところで学校がないから教育受けられないと……。

 

小野さん:そうです。さらに畳み掛けるように「学校があったとしても過激派テロ組織などの養成機関を兼ねてるから危なくて行かせられねえよ」って続いて。そんなことがある!?ってなりますよね。日本人が思い浮かべる教育環境と前提条件が違いすぎて、なんて返せばいいか分からなくなっちゃって。結局、その試合は負けちゃったんですが、勝敗含めてめちゃくちゃ記憶に残っていますね。

 

留学よりコスパがいい英語学習法かもしれない

岡山:すこしお話が変わるんですが、ディベートでどんな能力が身に付くかを伺っていきたいと思います。まず、私たちの本業でもある英語から。ここまでのお話で英語力が身に付くのは間違いなさそうだと思っているのですが、ほかの勉強法、例えば留学とか資格試験とかと比べて良いところ、悪いところってありますか?

 

小野さん:費用的にも、時間的にもコスパがいい勉強法だと思いますね。
個人的な見解ですが、アメリカに1年留学に行くより、英語ディベートの国際大会に出場して英語漬けになる3日間のほうが、英語力が伸びるんじゃないかなと思っています。

 

岡山:その心は?

 

小野さん:単純に、浴びる英語の総量が多いからです。大会に出ると、試合っていう集中力MAXの状態で、喋って聞いてを1日に何回も繰り返します。日本語を使う時間がほとんどないので、たった3日でもものすごい量の英語に触れることができます。

さらに、ディベーターやジャッジは世界中の国の人ですから、いろんなアクセントに触れられます。どんなに英語力に自信がなくても、さすがに大会の前と後では英語力も自信や根性も全然変わると思いますよ。

 

留学先で日本人ともつるみながら1年間のんびり過ごすのと比べたら、浴びる英語量はリアルに上回る気がします。もちろん、日本人が誰もいない環境でストイックに勉強するなら別ですが。

 

岡山:なるほど。僕も短期留学を経験していますが、たしかに日本人同士で集まってボーッと過ごしてる人もいましたね。
ディベートで身に付いた英語って、実生活でも使えますか? 小野さんは外資企業でも働かれていましたよね?

 

 

小野さん:僕が働いていたのはNetflixという米国企業でしたが、言葉で不自由することはありませんでしたね。当時は日本オフィスに20代の男性社員が自分しかいなかったのですが、言葉で不自由しないことが仕事を進める上でかなりのアドバンテージになっているなと思いました。海外のオフィスの同僚ともコミュニケーションがうまく取れていたので、大変な時もかなり助けてもらえました。少なくとも、資格試験とか英会話で勉強するよりは実践的なんじゃないかと思います。


例えばTOEICのリスニングに出てくる会話って、道を聞くとかそういう想像しやすいシチュエーションの話が多いじゃないですか。そこに複雑な背景や意図もないですし。一方ディベートの場合は、全く知らない文化のトピックも出てくるし、相手の発言意図もさまざまです。単に聞き取るだけじゃなく、同時に、想像したり思考したりする力も鍛えられるように思います。

 

身につくのは語学力だけじゃない。ビジネスに活きるディベートスキル

岡山:真意を汲み取る力、とでもいうスキルですね。たしかに、実際のビジネスの現場では、聞き取れるだけでは不十分ですよね。

 

小野さん:英語を話す人みんながネイティブじゃないですし、それぞれ英語力も違いますからね。相手の英語が完璧じゃなくても、お互いが何を言おうとしているのかを汲み取るというか、ある意味、無理やり分かってあげる力が必要な場面は多いなと思います。

 

岡山:語学力以外でも役立つことがいっぱいありそうですね。

 

小野さん:いっぱいありますよ。分かりやすいところでは、ビジネスの場での打ち合わせですね。打ち合わせって、準備したとおりに行くことなんてまずなくて、その場その場で新しい話題とか問題が出てくるのが普通じゃないですか。でも、そこでいちいち「持ち帰って検討します」って言っちゃうと仕事がなかなか進みません。
そんなときに、即興ディベートのスピード感に慣れているのは強いなと思います。その場で争点を整理して「いま食い違ってるのって、こことここですよね」みたいに、すぐにコンセンサス(合意)を取りにいけるので。

 

岡山:準備通りに行かない打ち合わせは、社会人なら誰もが経験することですよね。小野さんのように、瞬間的に思考できるスキルが欲しい方も多いんじゃないでしょうか。

 

それにしても、ディベート、すごいですね。考える力とか伝える力とか、生きていくうえで基礎になる能力が総合的にパワーアップする感じがします。

 

小野さん:あと、ディベート経験者みんなが一番活かしてるなと思うのは、論破しないことです。

 

岡山:出た、論破! そうですよね、取引先を論破しても意味ないですもんね(笑)

 

小野さん:そうなんです。でも意見が食い違うと、ついつい自分の正当性を主張したくなっちゃうじゃないですか。そこで第三者や別の決裁者から「そうだよね」って言ってもらえるように話す意識があるとうまくいきやすいと思います。
周りの先輩や同期たちを見ていても、みんなその意識を上手に活かしているように思いますね。どんな仕事にでも役立つスキルなんじゃないでしょうか。

 

お金も、運動神経も、頭の良さも、何もなくても始められる

岡山:ここまでのお話で、子どもにディベートやらせてみようと考え始めた方も多いと思います。一方でちょっとエリートチックなイメージがあって、敷居が高く感じる方もいるのでは?とも思います。気軽な気持ちではじめても、続けていけるんでしょうか?

 

小野さん:絶対に大丈夫です。常々思っていることなんですが、ディベートって何にもいらない競技なんですよ。道具を使わないのでお金はかからない、体は動かさないので運動神経はいらない、英語だってやってれば誰でも喋れるようになる。


「頭のいい人が勝つんでしょ」みたいに思われているところもありますが、記憶力とか計算速度とか、学力という意味での頭の良さはいらないんです。考え方が重要なので、後から何とでもなるんです。大会の上位校を見てもらえば分かりますが、必ずしも偏差値が高い学校が勝ってるわけじゃないんですよ。

 

岡山:ということは、誰でもやれちゃう?

 

小野さん:できますね。むしろ、ほかのコミュニティに馴染めなかった人がディベートにはハマって続けられたみたいな例をたくさん見てきたくらいです。ディベート業界ってすごく寛容なので、どんな変な人でも受け入れられちゃうんです。くせ者ぞろいというか(笑)。

 

岡山:くせ者にも興味がありますが、寛容さってどこから来ていると思いますか?

 

小野さん:競技設計の段階から、参加者や意見の多様性を大事にしようとしているところはありますね。スピーチの7分間は、どんな意見でも遮られることはないし、意図を汲み取ろうと真剣に聞いてもらえますから。他の参加者が不快になると思われる発言や行動は控えるように注意を促す制度もあります。

 

あと、ディベートをやればやるほど、絶対的に正しいものなんてないって分かってくるというのもあります。さっきの児童労働の話じゃないですが、自分が正しいと思っていたことが別の立場から見るとぜんぜん正しくないって気付く経験が増えていくんですよね。ディベート強い人ほど寛容ですよ。

 

岡山:誰もが受け入れてもらえて、英語もビジネスやコミュニケーションに役立つ考え方も学べる。いいことだらけですね。

 

「自分にしかできないこと」を考え辿り着いた、全国コーチング行脚

岡山:小野さんはディベートのプロコーチとして活動されているんですよね。

 

小野さん:はい、2019年に会社をつくって指導や育成に専念しはじめました。それまでは会社に勤めながら、週末に全国の中学校・高校を行脚をしていたんです。かなり前から、けっこうストイックに取り組んでたんですよ。仕事でどんなに疲れていても、週末は絶対にどこかの学校へ行って、ディベートを教えていました。そのくせ利益はあんまり考えていなかったので、交通費差し引くと赤字になることもよくありました。


休みはないわ、儲からないわなので、父親から「なんでそこまで頑張るの?」ってしょっちゅう聞かれてました。なんでって部分は自分でもちゃんと整理できていなくて、「いつか来るであろう新時代のために!」「まずはとにかく現場経験だ!」と、とにかくやらなくちゃっていう謎の使命感が先行していたように思います。

 

 

岡山:教えることが楽しいとか、そういう次元ではなく?

 

小野さん:楽しいのは楽しいですよ、もちろん。レクチャーした前と後では、生徒のディベート力や表情ががらっと変わるんです。行脚をはじめるときに、一回でもつまらなさそうなりアクションをされたら辞めようって決めていたんですが、どこへ行っても真剣に聞いてもらえたので、何かの役には立ってるんだなっていう実感もありました。
でも毎回、「行くの大変だなあ」っていう気持ちはあったので、単に楽しいってだけではないのかなと思いますね。

 

岡山:そもそもディベートを教えようと思ったきっかけは何だったんですか?

 

小野さん:自分にしかできないことを仕事にしたほうが労働市場のなかで価値が高まるんじゃないか、っていう考えが入り口です。当時の会社で、得意なわけでもないExcelを入力しながら、これって俺以外の人でもできるし、俺より上手くやれる人がいるだろうって感じて。じゃあ他の人じゃダメなことって何だって考えたとき、英語ディベートをちゃんと教えられる人ってあんまりいないぞ、と。


自分にしかできないってことだって思ったら、何か行動しなきゃっていう謎の使命感がどんどん強くなってきて。とにかく現場を見なきゃいけない、まずは質より量だ、みたいな。その先に何があるみたいなことは、あまり深く考えずに行動し始めましたね。

 

英語ディベートを、もっとカジュアルに

岡山:今はどうですか?英語ディベートを教える活動の先に何を目指すのか、イメージはありますか?

 

小野さん:ディベートをもっとカジュアルにしたいですね。僕が英語ディベートはじめた頃って「日本人には英語で議論するなんて無理だ。用意して挑むならまだしも、即興なんてできるはずない」みたいなことを、偉い人たちが言ってたんです。できないことを論文を書いて証明しようとする人までいたくらいで。

 

岡山:えー、わざわざ……。

 

小野さん:僕は逆に燃えたんですが、あまりにも否定的な論調のせいで遠ざかった人もいると思うんです。でもそれって大きな損失ですそんなことないぞ、誰でも気軽に始められて、しかも楽しい競技だぞって伝えられたらいいなと思います。
伝え方も工夫したいですね。ベンチマークは『ヒカルの碁』です。

 

岡山:囲碁の漫画ですよね。

 

小野さん:そうです。あの漫画が連載されてテレビでアニメが放送していたとき、僕らは小学生で囲碁のルールなんて全く知らなかったのに、なぜかおもしろく読めちゃったんですよね。僕、あれがきっかけで囲碁をはじめたんですよ(笑)小・中学生向けの入り口として、ものすごく機能すると思うんです。


で、ディベートって漫画の題材としてどうだろうって考えたら、けっこうイケるんじゃないかなって。白黒の石を置き合う囲碁であんだけおもしろくできたんだから、言葉で戦うディベートなら見せ場も作りやすいと思うんです。勉強も運動もダメな小学生が努力して世界大会に出場して、韓国人のライバルやイギリス人のラスボスと熱いバトルを繰り広げる、みたいな。

 

 

岡山:それ普通に読んでみたいです。あと、小学生版の世界大会はESL club主催で本当に開催してみたいですね。ドキュメンタリー映画にしてもおもしろそう。

 

小野さん:ぜひやりたいです! それが実現して、日本人の小学生が世界の選手を相手に活躍しているのを見たら、日本人に即興ディベートは無理って言ってたおじさんたち、耳から煙でも出しそうですね(笑) 

 

岡山:本気で動きます! まずは教室の授業にディベート要素を取り入れるところから相談させてください。教育効果は抜群に高そうなので!

 

(対談おわり)

 

聞けば聞くほど奥が深い、英語ディベートの世界。想像していたよりおもしろうそうだし、子どもの将来に役立ちそう!と思った方も多いのではないでしょうか。 英語ディベートの魅力をより深く、よりマニアックに掘り下げた、日本を代表するディベーター2名のよる対談も記事にしています。ぜひ合わせてご覧ください。

 

(執筆:田中ヤスヒロ)

「英語を自由に使いこなし、世界でも活躍できる人になる」その夢をかなえる場所が、ESL clubです

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