小学校での英語はいつから始まる?何年生から何を学ぶべきか完全解説

こんにちは、英語を教えない英語塾『ESL club』、事業責任者の岡山です。

子供に英語を学ばせたいと考える保護者の方は年々増えています。そんな中、小学校でも英語教育が本格的にスタートしました。

「え?いまの子って小学校でも英語を学ぶの?」「私が小学生の頃は英語の授業なんて一度もなかったけど…」と当時との違いに驚く方も多いのではないでしょうか。

実は今の小学生は、国語や算数と同じように学校で英語を学んでいます。

小学生の子供がいる方やもうすぐ小学校に入学する子供がいる方は、子供が小学校でどのように英語を学ぶのか、知っておきたいですよね。

この記事を最後までチェックすれば、小学校での英語の必修化に関する情報が一通り分かりますよ。

2020年4月から小学校での英語が必修化

小学校で本格的に英語教育がスタートしたのは、学習指導要領が改訂された2020年4月からです。

学習指導要領は10年に1度改訂されており、今回の改訂での大きな変更点としては、外国語学習の必修化(教科化)とプログラミング活動の追加が挙げられます。

文部科学省のホームページにて、今回新たに改訂された学習指導要領の概要をまとめた資料が公開されています。3分ほどで読めるシンプルなものですので、ぜひ一度目を通してみてください。

新しい学習指導要領に関するリーフレットはこちら

ここでは、2020年4月より改訂された小学校の英語教育について、次の5つの観点から解説します。

  • 何年生から必修化(教科化)されるのか
  • どんなことを学ぶのか
  • 英語を必修化(教科化)した目的・目標
  • 1年間でどのくらい英語を学ぶのか
  • どんな教材を使うのか

それぞれ詳しく見ていきましょう。

何年生から必修化(教科化)されるの?

2020年の4月から小学校での英語教育が本格的にスタートしました。しかし小学1年生から英語の授業が始まるわけではありません。

まず小学校3・4年生を対象に英語が必修化されます。また小学5・6年生を対象に英語が教科化されます。

必修化、教科化という2つの言葉が出てきましたが、これらの言葉には明確に違いがあります。

英語の必修化とは?:
道徳や総合的な学習、特別活動と同じような位置付けで外国語を学ぶ。通知表で評価されることはない。特定の教科書はなく、先生が自由に授業内容や使用する教材を決めることができる。

英語の教科化とは?:
国語や算数のような教科として英語が扱われるようになる。通知表には外国語(英語)の欄が新たに設けられ、文部科学省指定の教科書が採用される。

つまり最初から国語や算数と同じように教科として英語を学ぶのではなく、小学3・4年生で英語に慣れ、その後小学5・6年生で教科として英語を学ぶといった形です。

これまでは小学5・6年生の時に現在の小学3・4年生のように楽しく英語を学んでいました。しかしそれだと、中学に上がった際の英語の勉強スタイルの変化についていくことが難しくなります。

小学3・4年生で楽しく英語を学び、小学5・6年生で教科としてしっかり英語を学ぶことで、中学以降の英語教育にもスムーズに適応できるようにしようという試みです。

どんなことを学ぶの?

小学校の英語教育では、英語を4技能5領域に分けて学習します。

「4技能5領域」という言葉は、聞き慣れない方も多いはずです。それもそのはず、4技能5領域は学習指導要領が改訂されてから使われるようになった言葉で、それまでは「4技能」という言葉を使っていました。

4技能とは、聞く、話す、読む、書くの4つの技能の総称です。4技能5領域では、4技能のうちの「話す」を「やり取り」と「発表」の2つに分類します。

雑談や挨拶のようなやり取りと人前で自分の意見を述べる発表では、求められる知識やスキルが異なるため、それらを「話す」で一括りにするのではなく2つに分けようという考えです。

小学3・4年生では、「聞く・話す(やり取り・発表)」の「2技能3領域」を中心に学びます。その後小学5・6年生では、「聞く・話す(やり取り・発表)」に「読む・書く」を加えた「4技能5領域」を学びます。

その後は中学・高校と、4技能5領域を学び続けます。

英語を必修化(教科化)した目的・目標は?

英語を必修化(教科化)した最大の目的・目標は「インプット」と「アウトプット」の力をバランスよく伸ばすことです。

日本人は中学・高校と6年間英語を学んでいるにもかかわらず、英語を話せる人の数はそれほど多くありません。

日本人が英語を話せないのにはいくつもの原因があります。そしてその中でも大きな原因であるとされているのが、インプットに寄りすぎた英語教育です。

英語教育は「インプット(読む・聞く)」と「アウトプット(話す・書く)」に分けられます。日本の英語教育はこれまで「インプット」、特に「読む力」を伸ばすことに重点を置いてきました。

しかし今回改訂された学習指導要領では、読む力以外の3技能4領域も重要視されます。また英語を必修や教科として学ぶ期間も、小学3年生から高校3年生までに引き延ばされます。

1年間でどのくらい英語を学ぶの?

小学3・4年生では週1回(年間35時間)、小学5・6年生では週2回(年間70時間)英語を学びます。

また小学3・4年生で英語が必修化されたことに伴い、小学1・2年生で年間10時間程度の英語学習時間を設ける学校が増えています。

どんな教材を使うの?

小学3・4年生では、英語は教科化されていません。よって使用する教材や授業内容は、学校や先生によって異なります。

小学3・4年生では、文部科学省が配布する正式な教科書はありません。文部科学省が配布する他の教材や学校・先生が準備したプリント等を使用します。またALTと一緒に英語を口に出して、英語に触れる機会を増やします。

一方小学5・6年生では、英語は正式な教科です。よって文部科学省に認可された教科書を授業で使用します。使用される教科書は自治体によって異なります。

【本音をぶっちゃけます】小学校からの英語必修化(教科化)で英語は話せるようになるのか?

2020年4月より小学校で英語が必修化(教科化)されます。英語が必修化(教科化)されれば、子供たちの英語力の向上につながることは確かです。

しかし本音を言うと、小学校で英語が必修化(教科化)されたからといって、英語を話せるようになるわけではないと私は考えています。

理由は以下の3つです。

  • そもそも学習時間が足りないから
  • スピーキングやライティングを鍛えるための宿題が不足しているから
  • 小学校の先生がそもそも英語をしゃべれないから

それぞれ詳しく見ていきましょう。

理由1:そもそも学習時間が足りないから

日本人が英語を習得するのに必要な学習時間は約3,000時間と言われています。

小学3・4年生では週1回(年間35時間)、小学5・6年生では週2回(年間70時間)英語を学びます。

英語が必修化(教科化)される前の時点で、日本人は高校卒業までに1,200時間ほど英語を学習するとされていました。そこに必修化(教科化)で追加された時間を追加しても1,410時間にしかならず、3,000時間には到底及びません。

近年、英語力を大きく伸ばしている中国では、日本の教科書の2,3倍の厚さの教科書を使っていると言われています。

語順が英語に近く、音の種類が多い中国語を話す中国人ですらこれだけ英語を学んでいます。語順も音の種類も英語から大きく離れている日本人が、そんなに少ない学習時間で「英語を話せるようになろう」と考えること自体に無理があります。

英語を学ぶ時間が増えたことは良いことですが、まだまだ学習時間が足りないのです。

理由2:スピーキングやライティングを鍛えるための宿題が不足しているから

1,410時間という時間は学校で授業として英語を学ぶ時間です。「そこに宿題が加わればもう少し学習時間を確保できるのでは?」と考える方もいるでしょう。

確かに学校の宿題を加えれば、合計の学習時間は2,000時間近くになるかもしれません。

しかし学校で出される宿題はページを指定され、アルファベットを書いたり単語を書いたり、簡単な問題を解いたりといった形で、本質的な英語4技能に結びつくものとは言い難いです。

英語4技能のバランスが設計されている宿題(例えば、シャドーイングや音読)が出されるわけではないので、英語は話せるようにはなりません。

ましてや「〇ページから〇ページまでやっておいで」と出された宿題を、毎日コツコツ勉強できる、学習習慣が形成されている小学生はどのくらいいるのでしょうか。

理由3:小学校の先生がそもそも英語をしゃべれないから

私には小学校で先生をしている知り合いがいます。そしてそのうちの数名は、次のように嘆いています。

「英語が嫌いだから小学校の先生になったのに英語を教える羽目になるなんて……現状ですら手一杯なのに、英語とプログラミング教育の負担も増えるのか……」

残念ながら今の小学校は設計上、子供の英語教育に集中できる環境ではありません。ALTの先生がいても、なんとなくクラスに外国人の先生がいるだけで、日本人の子どもたちが日本国内で英語力を伸ばしていくような設計はなされていないのが現状です。(なぜなら、外国人が英語を教えてくれるかどうかよりも、生徒たちが日本国内でも英語4技能を効果的に伸ばしていける学習法を指導できるか、がより重要だからです。)

「英語を好きでもなく、話せもしない小学校の先生が、無理をしながら英語を教える」、本当にこれでできるようになるのでしょうか?

残念ながら、今の学校教育だけで英語ができるようになる生徒は稀です。英語が話せるようになるのは、グローバルコースなどのイマージョン教育を行っている学校の生徒、もしくは英語が大好きで自分で勝手に英語をたくさん音読したりできる生徒だけでしょう。

よって英語を伸ばしたいのであれば、学校以外での英語学習が必要不可欠です。

子供の英語教育はいつから、何を始めるべき?

小学校で英語教育が本格的にスタートするのは、小学3年生からです。しかしここ最近では、幼児期から子供を英語学童や英会話教室、英語塾に通わせる保護者も増えています。

子供の英語教育をいつから始めればいいのか、悩みますよね。

「英語で簡単な読み書きや会話ができるようになってほしい」といったレベルであれば、英語塾に通う必要はありません。小学校・中学校・高校で習う英語だけで十分でしょう。

しかし外国人と流暢に英語でコミュニケーションができたり、英語を使って仕事ができたりするレベルまで英語力を伸ばしてほしいのであれば、小学校・中学校・高校で習う英語だけでは不十分です。

英語塾のようなプラスαでの英語学習が必要ですし、小学3年生よりも早い時期から英語学習を始める必要があります。

子供に英語を習得させたい場合、具体的にいつ頃から、何を始めるべきなのかについて、解説します。

【結論】早ければ早い方がいい(ただし、母語もしっかり伸ばす)

子供の英語教育を始める時期は、早ければ早い方がいいです。

学習指導要領が改訂されて、小学3年生から本格的に英語教育がスタートしました。しかしそれよりも早く英語を学び始める分には何の問題もありません。

英語には臨界期と呼ばれるものがあります。

臨界期とは?:
臨界期とは、ある時期を過ぎるとその後は学習が上達しにくくなる限界の時期のこと。言語習得においては、10〜12歳が臨界期とされている。

臨界期を過ぎて英語を学んでも、頑張り次第では英語が話せるようになります。しかしESL clubの生徒たちを見ていて感じるのは、発音とリスニングは本当に早く始めるに越したことはない、という現実です。

ただし、条件が2つあります。

①子供に英語学習を強要すべきではない

英語教育を始める時期が早いに越したことはないのですが、子供に英語学習を強要するのは逆効果です。

子供を無理やり英語塾に通わせると、子供が英語嫌いになってしまい、英語の習得には至りません。

私は今でもほぼ毎日、英語に触れています。英検1級、TOEFL iBT 100点を取った後も、毎日です。

ESL clubの講師の多くは、海外経験が長い帰国子女講師ですが、彼らも日本帰国後、ほぼ毎日英語に触れていると言います。

なぜでしょうか?

それは、触れないと英語力が落ちていってしまう、という現実があるからです。英語学習は終わることはないのです。始めた以上は、ずっと継続していくことになります。

英語は勉強で留めず、ライフスタイルにまで昇華をしていかないといけないのです。それはつまり、英語で好きな本を読む、英語で情報を集める、英語で何かを書く、英語で友達と話す、といったことです。つまり、英語を生活の一部に自然と取り入れている状態にまで、子どもたちを導かないといけないのです。

では、もし英語が嫌いだったら。あなたは英語を生活の一部に取り入れたいと思いますか?ならないですよね。

だからこそ、「英語を嫌いにしてしまう」ということだけは、保護者の方はなんとか避けないといけないのです。

例えば、子供が英語に興味を示してくれるように、英語のDVDを流したり、英語の絵本や知育玩具等をさりげなく置いたりする工夫が必要です。

どうしても子供が英語に興味を持ってくれない場合は、タイミングが違うのかもしれません。無理に英語学習をさせる必要はありません。子供が大人に成長した後に英語に興味を持った場合、独学でも英語を話せるようになります。

何よりも「子どもが英語を嫌いにならないこと」前提で、英語学習をなるべく早く、子どもに届けてあげる必要があるのです。

②母語もしっかり伸ばして上げる

いくら子供に英語を習得させても、日本で生活する際に使う言語は日本語です。

英語にばかり時間を費やしすぎて日本語が疎かになってしまうと、どちらの言語も中途半端になってしまいます。

この中途半端になってしまう状態を「ダブルリミテッド」と言います。

この状態に陥ってしまうと、子どもの思考力に悪い影響が出ます。

私はESL clubの講師採用で年間100名近くのバイリンガル人材の面接をします。残念ながら、発音もきれいで流暢に英語を話せるにも関わらず、話す内容が薄かったり支離滅裂になってしまっている応募者が一定数います。当然そういった方は、申し訳ないですがESL clubの講師としては不採用としています。

思考力が育たないまま無理にバイリンガル教育を施すと、どちらの言語もどっちつかずになりこういった結果になってしまいます。

そうならないために、英語だけでなく、母語である日本語もしっかりと伸ばしてあげる必要があるのです。

とはいえ、何か特別なことをする必要はありません。子供の日本語力を伸ばすために必要なのは、親子での会話を日本語で行うことや、英語の本だけでなく日本語の本も与えてあげることです。

ESL clubの生徒を見ていると、本をたくさん読んでいる子は英語力の伸びも著しいです。(日本語の本でも)

英語学習は早いに越したことありません。ただし「できる限り強要せず、また母語である日本語も大切にしながら」という条件をクリアしつつ学習を進めることが大切です。

子供と一緒に英語と日本語を楽しむことが大切

子供に言語教育を受けさせる場合は、保護者も一緒に楽しんであげることが大切です。それは、英語でも日本語でも、同じです。

特に小学校低学年までの子供は、自分1人では言語学習を進められないことが多いです。「次は一緒にこれをしようか」「ここ、面白いね」と1つ1つ保護者とお子さんが二人三脚で、楽しみながら一緒に学習を進めていくことが重要です。

特に英語は、子どもたちにとっては「外国語」です。より丁寧なフォローが必要になります。

市販の英語教材は、英語教材としては優秀でも、子供が自分1人で学習を進められるようにはできていません。また学校の英語の授業や英語塾でのレッスンでも、英語は教えてくれても英語を自分1人で学ぶ方法については教えてくれません。

だからこそ、自宅で子供の英語学習をサポートしてあげる必要性が出てきます。ただし常に子供につきっきりで、楽しく英語学習をサポートしてあげるのは、簡単なことではありません。

ご自宅で子供の英語学習を完全サポートしてあげることが難しければ、私たち『ESL club』にもご相談いただけると、とても嬉しいです。

ESL clubでは、「“英語”を教えない英語塾」として、第二言語習得理論に基づいた学習法を教えています。

それにより子供でも自分1人で、洋書を読んだりシャドーイングをしたりできるようになりますよ。無料体験レッスンも実施しているので、興味がある方はぜひチェックしてみてください。

まとめ

小学生の英語教育について解説しました。小学生の英語教育について簡単におさらいすると以下の通りです。

  • 小学校で本格的に英語教育がスタートしたのは、2020年4月の学習指導要領改訂から
  • 小学3・4年生を対象に英語が必修化、小学5・6年生を対象に英語が教科化される
  • 小学校では英語の4技能(読む・聞く・書く・話す)の「話す」を「やりとり」と「発表」に分けた4技能5領域を学ぶ
  • 英語を必修化する目的は、インプットとアウトプットをバランスよく伸ばすため
  • 小学3・4年生では週1回(年間35時間)、小学5・6年生では週2回(年間70時間)英語を学ぶ
  • 教材は小学3・4年生では指定されておらず、小学5・6年生では文部科学省指定の教科書を使う

小学校では3年生から本格的に英語教育が始まります。しかし英語教育を始める時期は、臨界期といった理由から、早いに越したことはありません。

また小学3年生が小学校で英語を習う時間は年間わずか35時間なので、将来子供に英語を習得させたいのであれば、+αの学習が必要です。

「小学校の英語教育だけだと不安」という方は、『ESL club』の受講をご検討ください。無料体験レッスンも実施しています。

この記事を書いた人
岡山 太

「ESL club」事業責任者 兼 「明光義塾」英語教科責任者。
長期留学経験なし、国内独学で英検1級・TOEFL iBT 100点・TOEIC900点を達成。
自身の英語学習経験を生かし、ESL clubのオリジナルカリキュラムを構築。現在は全国の明光義塾の英語指導力強化にも努めている。