実践的な英語力を磨く英語学習ツールとして英検を活用するESL clubのスタッフたちは、彼ら自身が英検を勉強した経験があり、人生において英検を活かしている「英検Lovers」でもあります。
前編に続き、英検を愛する「英検Lovers」として、ESL club事業責任者の岡山太、オンライン校スクールマネージャーの梶玲菜、講師の白佳奈が登場します。
後編では、英検を実践的な英語力に結びつけるための方法を主なテーマに語ります。
彼らが取り組んできた英検は、仕事や人生にどう活きているのでしょうか?
英検を土台に、より実践的な英語力を身に付けるにはどうしたらいいのでしょうか?
また、英語学習者なら一度は考えるテーマ「英検の準1級や1級になれば英語が話せるようになるのか?」についても議論します。
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目次
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英検準1級レベルからは洋書を読みこなせるように
<岡山太プロフィール>
英語を教えない英語塾「ESL club」事業責任者 兼 個別指導No.1明光義塾英語教科責任者。大学院生時代にJAXAにて高校生向け教育プログラム「きみっしょん」のリーダーを経験したことから、「教育を変えたい」と考え教育業界へ。長期留学経験なし、国内独学で英検1級・TOEFL iBT 100点を達成。自身の英語学習経験を生かし、ESL clubのオリジナルカリキュラムを構築。二児の父。
岡山)英検は級が上がると、英語を使って楽しめるようになりますよね。
準1級以降は洋書が読める量が増えたので、好きな内容の本を英語で読むことができるようになりました。
自分は本が好きなのですが、日本語では入手できない情報って結構あるんですよね。自分が興味のある心理学なども遅れているといわれていて、洋書を買って読んだ方がいい場合も多くあります。
辞書が必要になるときもありますけど、自分の好きな分野の洋書を楽しめるのは、1級を目指してよかったなと思う点ですね。
スピーキングについては完璧ではありませんが、仕事でも普通に使っています。
例えば仕事で前にウズベキスタンで現地の人と英語で教育について話したり、ディスカッションしたりするのもあまり苦労はなかったです。
ESL clubでバイリンガル講師を採用するときに、ディスカッションしてもらって質問をしますが、意思疎通は普通にできますよね。
頭の中に英検のマップが入っているので、指導にすぐ活かせる
<梶玲菜プロフィール>
ESL clubオンライン校 スクールマネージャー。高1で英検準1級取得。 高校・大学で留学を経験、社会人ではフルブライト奨学金制度などで留学。豊富な海外経験を活かして教室の業務・運営に当たっている。
梶)英検準1級あたりまでを目指す過程で、言語の習得ってこうやっていくんだ、とある程度わかってきますよね。多分本気を出せば、別の外国語、フランス語とかを学ぼうとしても、同じ要領でできるんでしょうね。
振り返ると自分の中で英語学習が体系化していったのは、準1級が受かったところだと思っています。
英検に取り組んだ経験は、今すごく仕事に活きていますね。
ESL clubのカリキュラムを考えるときも、生徒さんを見ているときも、「これが足りなそうだな」とか「こういう傾向があるからこの方法がいいだろうな」とか、すぐ頭に浮かびますね。
5級から全部受けているので、どの級の話をされても把握できますし、すべて網羅しているのが自分の中で自信になっています。
頭の中に、英検と対応する英語レベルのマップが入っている感じですね。
洋書はあまり読まないのですが、私は帰国子女ではないけど英語を耳からインプットするのがすごく好きでしたね。それで文脈をとらえながら聴く力を養ってきたと思います。
英検は、一言一句訳すテストではないですし、日本語に訳しなさいという問題も出ませんよね。分からない単語があっても読めたり聞けたりするような能力は、英検を通じて養ってきたのではないかと思います。
それに、高校受験でも英検を活用しました。高校は推薦で、英検と内申点で合格したんです。試験は形だけ受けていますが、合格の内定をもらえていました。当時私は英検2級を持っていて、足切りが3級だったと思います。
英検合格という成功体験が自信につながる
<白佳奈プロフィール>
ESL club渋谷校講師。大学時代に外国語学部英語学科に所属。長期留学経験なし。国内独学で英検1級・TOEIC 900点越えを達成。
白)私の場合、ESL clubでは英検1級がないと講師になれないので、それが一番役立っていますね。(笑)
あとは、各級ごとに努力して試行錯誤しながら合格してきたので、教えるときに「どうすればどのくらいのレベルになれるか」とか、できていない弱点を見抜く力は、自分の経験からわかるので、それを活かして生徒さんに教えられると思っています。
あとは個人的なことでいうと、英語のラジオが聞けるようになったり、全てがわかるわけではないですが、映画などが見られるようになるのは楽しいですね。やっぱり言語によって表現の仕方が違いますし、細かい部分をとらえられる観点が自分の中にも広がって楽しみが増えました。
あとはメンタル的な自信でしょうか。英検に向かって努力した過程、また結果的に形として資格を得たというところで、一つの成功体験といいますか、人生において強みや自信になるのも英検のメリットかなと思います。
英検を極めれば、英語を話せるようになるか?
岡山)英検準1級、1級なら英語が話せるようになるかっていう課題についてどう思う? 多くの人が気になっていることだと思うんだけど。
梶)使い方次第だと思います。例えば、二次の面接のスピーキングの練習を、一次に合格したからと、そのときだけ勉強するのは、単に面接に合格するためだけの練習で、話せるようにはならないと思うんですよね。
一次の過去問の勉強と同時進行で二次のスピーキング練習もしていれば、練習量も積み重なって確保できますよね。
私はそれを続けてスピーキングが上達したので、英検でしゃべるれるようにならない、とは思わないですね。
岡山)なるほどね、やり方ってことだね。
白)私は、スピーキングを練習するためにオンライン英会話を2ヶ月試してみました。英検学習でインプットしてきたものをアウトプットする段階では、そのオンラインが役立ちました。
自分が得たスピーキング能力は英検から得たものですが、それをアウトプットする場がなく、はじめて出す練習をしたからスピーキングが伸びたことを感じられたんですよね。
英検学習のベースがなかったら上達できなかったことなので、「話せるようになるためのインプット」として英検を使うのはレベルアップの助けになると思います。
二次の面接の練習にも、英検のライティングがすごく役に立っています。
ライティングで覚えた表現を使っていえば、英検の面接は対応できるんです。フォーマルな表現で話す練習にも、英検学習は最適と思います。
岡山)英検準1、1級レベルなら英語でディスカッションができるのかな?
白)ディスカッションの定義にもよりますが、1質問に対して1応答、はできると思います。
ただ、それならどう思うの?とさらに会話を深めるのは、英検1級では少し必要になりますが、極めるとなると1級では足りない部分があると思っています。
相手の言うことを、頭の中で整理して、自分の言葉で伝えるというのは、英検だったら少し足りないかなとは思います。TOEFLの方が適しているかもしれません。
岡山)自分もTOEFLを受けたことがあるけど、前半部分は結構取れる。英検みたいに簡単な問題に対して答える型式ですね。でも後半になって、一つの問題について聴いて自分の意見を話すっていうのは、応用が入ってくるからこそ難しくなりますね。
白)日本人などによくある悩みで、パターンを作って話しても、スコアが伸びにくいっていうのは何かもっと豊かな表現などが必要だったりするせいかもしれません。
英検ならパターンから練習するフォーマルな表現でもいいんですが。
岡山)確かに、そのレベルには1級持っていてもまだ行けないね。
そうすると、英検1級っていうのは、より高みへ向かうための土台なんだね。
白)私の場合、カジュアルな英語はあまり聞き取れないこともあるんです。
英語のドラマや映画を見てても、使っている単語は簡単なのにスラング的な表現だと調べてはじめてわかることもありますね。
梶)私は英検を勉強しつつ、ドラマや映画が大好きでたくさん見ていました。ネイティブに近づきたい一心で英語をやっていたので、英検の英語はかっちりしすぎているように感じましたね。
日本で国語の教科書の文章を日常生活で使うか、というとそうではないし、英語の教科書にも日常生活では使わない表現も出てくるので、テスト用の英語という一面はあるかもしれません。
そう考えると、英語の力がついてきたら、英検なら2級以上くらいから、自然な英語に触れていくのもおすすめです。過去問だけじゃなくて、映画、ドラマとか音楽に触れてみるとか、ラジオもいいですね。
徐々にジャンルの幅を広げていくっていう作業をしていた方が、自分の話せる、聞ける、使える英語の幅が広がると思います。
英検の理想的なロードマップとは?
梶)ESL clubが考える英検のロードマップがあるのですが、本当に英語に触れたことがない生徒さんだったら、ABCから始めますね。Aと読むことを覚えるところから始めて、最短半年から7、8ヶ月後に英検5級レベルです。
次に2、3ヶ月で4級、さらに半年で3級。最短ルートなら開始から1年半で3級ですね。
これは不可能ではなく、達成している生徒さんはたくさんいます。
年齢にもよりますが、3級から準2級は半年位、そこから1年位で2級が目安になります。
岡山)目標としては、小学校で準2級ぐらいが取れればいいですね。2級は単語がだいぶ難しくなり、背景知識も必要になってきて、元々日本語の本をたくさん読んでいるとか、地頭の要素も少し必要になってきます。
さっきお話した土台としての英検を、小学校で準2級または2級まで取ってしまうのが一つの目安ですね。
あとは英検の階段としては寄り道になるかもしれないけど、ESL clubでディベートのコースが動き出しているので、そういうスピーキングのアウトプットや、2級レベルを持っていれば読める力も付いているので、英語の本をたくさん読むなどの実践をやっていってほしいですね。
準1級は、背景知識が付いてきた中学校ぐらいで取得するのもありだと思います。
梶)2級レベルで英語を使う実践をしていくと、楽しみも増えますし、続けるモチベーションにもなりますから、幅を持たせるのはいいと思います。
英検を土台にして、英語力を大きく進化させる
岡山)英検って生きた英語なのか、っていう議論はあるんだけど、やっぱり土台は大事なんだよね。
英検という土台があるから、生きた英語に行けるかもしれないし、英検がない中で、今の日本の環境でいきなり生きた英語を、といっても、相当なインプットが必要。
それこそ、ご自宅の本、テレビとか全部英語にするような熱狂的なご家庭なら高い英語力が身に付くかもしれませんが、それは難しいご家庭も結構多いのではと思います。
完璧ではないのはわかりつつ、英検は英語力アップのツールとしていい線いっていますよね。
英検準1級に受かってから、TOEFLを受けてみるというのもいいと思います。
TOEFLは2時間もかかるし、多分小学生で受けたら英語が大嫌いになるかもしれないですよね。
でも英検ならステップアップなので、ちゃんとやっていれば準1級位までは英検の階段は普通に登れると思うんですよ。
もしTOEFLやIELTS、SATなどほかの試験が必要になれば、そのときに英検からスライドすればいいんです。
梶)前編でも話しましたが、実体験として小学生からずっと英検で勉強してきたから留学できたので、本当に役に立つという実感がありますね。
岡山)英検がない中で、日本で高い英語力を達成する方法って想像がつかないよね?
英検と同じ英語力をほかの方法で、と考えたら、労力も時間ももっとかかるはず。
やっぱり級別に階段登れるというのが、改めて英検のいいところですね。
ESL clubの英検Loverたちの熱いトークの結果、やはり英検は英語力を身に付ける土台として優れているという結論になりました。
英語力が低いときから挑戦してステップアップでき、少しずつ階段を上ることにより高みを目指すことができるのが英検のメリット。
英検を土台にさらに応用的な英語力を高めたり、他の英語力を測る試験に役立てたりすることもできます。
学生時代のうちに、できれば早い段階から英検に取り組んでおくことは、社会でも使える英語力マスターへの一歩といえるでしょう。
ESL clubでは英検のメリットを熟知したスタッフたちがカリキュラム作成や指導に当たっています。
実践英語力を高め、将来の可能性を広げる手段として、ESL clubで英検にチャレンジしませんか。
(取材・執筆:島川渚)