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常識に嵌る人、常識を破る人
こんな人がいます。
「いつかは海外で仕事をしたい」「人を笑顔にする仕事がしたい」
明確な志を持って社会に出たものの、現実はそんなに甘くなかった。目の前のことで精一杯で、将来のことなんて考えている余裕もない。もちろん初めの志を忘れたわけでは無いけど、先輩もある程度の諦めが肝心だと言っていたし、その内こう思い始める。
「思ってたのと違うけど、人生こんなもんだよな。なんだかんだ今も楽しいし。」
一方こんな人がいます。
「いつかは海外で仕事をしたい」「人を笑顔にする仕事がしたい」
そんな志を持って社会に出たものの現実は厳しく、目の前のことで精一杯な毎日。周りの先輩も肩の力を抜け、飲みに行こうと言う。
「仕事はそれなりに楽しいし、今の生活は悪くない」
そう思いながらも心のどこかで拭えぬ違和感。本当にこれでいいのか。
そしてこう思う。
「やっぱり海外で仕事をしたい!」「人を笑顔にしたい!」
あなたはどちらの考え方に近かったでしょうか?
二人は架空の人物です。
前者は経験の中である程度現実を受け入れ、妥協点を見つけながら社会に適応していく人たち。
後者は経験の中である程度現実を理解しつつも、常に心のコンパスを持ち続ける人たち。
敢えて対比をするなら『常識に嵌る人』と『常識を破る人』。
もちろん、どちらが正解か、なんてありません。
しかし、人生のゴールを『幸せになること』という視点で見たときに、後者のような生き方を選択をしている人たちの方が圧倒的に幸せに見えるのも事実です。
今まさに理想と現実で揺れ動いている人。
幸せな未来を諦めている訳ではないけど、信じ切れている訳でもない人。
そんな人たちが『自分を幸せにするため』の一歩を選んで踏み出していくには、どうしたらいいのでしょうか。
そもそも常識とは
『常識を破る』といいますが、そもそも常識とは一体何者なのでしょうか。
広辞苑で常識という言葉を調べると「普通、一般人が持ち、また、持っているべき知識。専門知識で無い一般的知識とともに理解力・判断力・思慮分別など含む」とあります。
抽象的過ぎて分かりづらいですが、日常の中では『多くの人が正しいと思っていること』というような解釈をされる事が多いと思います。
ここで注意したいことは、主語が「多くの人」であって、「あなた」ではないということ。
つまり、常識が必ずしもあなたにとっての正解ではないということです。
例えば、とても仕事のできる人が5人、あまり仕事ができない5人の計10人がいたとしましょう。仕事のできる人のうち4人と仕事のできない人のうち1人が朝型の生活で、残りの人たちが夜型の生活だった場合、仕事のできる人は圧倒的に朝型の人間が多くなり、この人たちの中では『仕事ができる人は朝型だ』という何となく常識が出来上がります。
しかし、少数派とはいえ夜型でも仕事ができる人も、朝型なのに仕事ができない人も存在しているという事実もあります。
いわゆる『仕事ができる人は朝型だ』が常識ではありますが、必ずしも全員に当てはまる正解とは言いきれないのです。
しかし、例のように10人であれば何となくイメージが出来ますが、これが会社組織や国という大きな単位になったときに、常識とあなたにとっての正解との判断は難しくなります。
これが常識の影響力です。
常識は、数の力が多くなるほど、それが万人に、あなたにも当てはまる正解のように存在するのです。
周囲の目 vs 自分の心
常識とは『大多数の人が正解だと思っている事』と再定義出来ました。
それを踏まえると、常識に嵌る行動とは『大多数の人が正解だと思っている選択をすること』と考える事が出来ます。
逆に常識を破る行動とは、『大多数の人が正解だと思っていない選択をすること』です。
つまり常識をもとに判断する心理としては、失敗や損をしたくないという気持ちが働いていると考えられます。
何となく正解な気がするし、少なくとも不正解ではなさそう。そんな気持ち。
勉強で例えるなら、いい点を取りたいからではなく、悪い点を取りたくないから勉強する心理に近いでしょうか。
そしてそのような心理になるとき、人は必ず『周囲からの目』に焦点が当たっています。
「周りからこう思われたくない。」
「周りからこう思われたい。」
それに対し、人には自分の本音というものも持ち合わせています。
「自分はこうしたくない。」
「自分はこうしたい。」
人が何かを選択する時は常に『周囲の目 vs 自分の心』を天秤にかけていて、突き詰めればこれだけが行動の選択の判断材料になっているといっても過言ではないと思います。
「自分はこうしたい。でも周りからこう思われたくない。」こう考えれば常識に嵌り、「周りはこう思っている。でも自分はこうしたい。」こう考えれば常識を破る選択をするという単純な構造です。
最初に『常識を破る人生』と聞いたときに、何か特別な才能や秀でたアイディアなどを持っている人が波乱万丈に生き、最後には成功を手に入れるサクセストーリーのような人生を想像したかもしれません。
しかし上記のように考えれば、そのように見える人たちは常識を破ることに重きを置いているのではなく、自分の心に従うことに重きを置いているだけと捉える方が自然ではないでしょうか。
自分の心に従った結果、常識と同じ判断をすることもあれば、違う判断をすることもあります。
注目すべきは結果ではなく、『自分の心に従って判断を下しているか』という点です。
自分の心の声がしっかりと聞こえてくれば、不必要に常識に嵌ることはありません。
今はその声がうまく聞こえてないという人にも、本音は必ず存在します。そういう人はただ、忘れてしまっているだけなのです。
そして忘れてしまったのなら、思い出せばいいのです。
常識の破り方
ここで、忘れてしまった自分の本音を思い出し、育てるために最適な『バックキャスティング』をご紹介します。
これは2015〜2030年の世界の共通目標であるSDGs達成のために用いられている考え方ですが、個人にも十分応用できます。
簡単にいうとバックキャスティングとは「未来を起点にして、今何をすべきかを考えること」です。それに対する考え方がフォアキャスティングで、「現在を起点にして将来を予測すること」です。
バックキャスティングは今の能力や状況、過去の経験を考慮せず、純粋にどんな未来を迎えたいかを基準に考えるので常に「どうすれば実現できるか」を考えます。一方、フォアキャスティングは今の能力や状況、過去の経験を基準に「何ができるか」を考えます。従って前者は常識に囚われない発想が生まれやすく、後者は自分の常識に囚われてしまいがちだと言われています。
分かりづらいので例を挙げましょう。
実は多くの人が、最もバックキャスティングに一番近い考え方をしている時期があります。
それは初めて社会人になるとき、いわゆる新卒の就活時期です。
過去の自分を振り返り、自己分析をし、純粋にどんな未来を迎えたいか…。
それを基準に進路を決めたと思います。
自分にできるかできないか、向いてるか向いてないか、そんな不安や恐怖もあったけど、それは二の次でとにかく一歩を踏み出したはずです。
これは立派なバックキャスティングです。
もしも初めての就活をフォアキャスティングで考えるとどうなるでしょうか。
「社会人になりたい気持ちもあるけど、会社で働いたことなくて不安だから、とりあえず今のバイト続けるわ。」
こんな感じです。
もしあなたの後輩の学生がこのように相談に来たらどう思うでしょうか。
「もったいない!」と感じませんか?
しかし不思議なことに、一度社会に出ると多くの人がこれと全く同じ事をしています。
「異業種に転職したい気持ちはあるけど、自分にできるかわからないし、とりあえず今のところでもう少し頑張るわ。」
この原因は、時間とともにじわじわと常識があなたの思考を侵食し、いつの間にか自分を覆いつくしてしまうからです。
「3年は同じ職場にいるのが常識。」
「結婚は30歳までにするのが常識。」
「正社員で働くのが常識。」
さっきも言いましたがこれは常識であり、あなたが幸せになるための最善の選択とは限りません。
親の願望、友達の意見、自分の年齢、得意不得意、今持っているスキル、すべての常識を取っ払って自分に質問してほしいのです。
「自分ってどんな未来だったら笑顔になるんだろう?」と。
そして心の声をより鮮明に聴くためには、出来るだけ外部からの情報が入って来ない環境で、気分が乗っている状況が望ましいです。お気に入りのカフェで好きな曲を聴きながら、肩の力を抜いて。
そのために一つ約束して欲しいのは、絶対にネット環境を遮断してください。ググるのもタグるのも禁止です。たった10分でいい。己の内面から湧き上がるものだけを感じてみてください。
常識の破り方~実践編へ~
ここまでやってみていかがだったでしょうか。
ワクワクした人も、特に何も浮かばなかったという人もいるのではないかと思います。
純粋に望むものを想像してみた人も、これからしようとしている人も、「何か変わるかもしれない」と、ワクワクした気分になったのではないでしょうか。
ここまでくれば、もう常識を破る人生は目前です。
しかし、持ち上げていきなり突き落とすようですが、これだけでは人は変わりません。
10分未来を想像してポジティブな楽しい気持ちになったけど、明日にはいつもの日常に戻っているでしょう。
ここが一番の問題です。
もっと言うと、これを読んで変われるような人なら、そもそもあなたは理想と現実のギャップで悩んでいないはずです。
この記事は、あなたが常識を破る生き方を選択し、未来をより良い結果を得る事を目的に書いています。
結果を変えるには、行動を変える必要があります。
行動を変えるには、考え方を変える必要があります。
後半では、常識を破る生き方をするためには具体的に何をすればいいのか、どう考えたらいいのかについて深堀りしていきます。
ここまで読み進めたあなたなら、難しいことは一つもありません。
だから、もう少しだけ頑張って読み進んでもらえたら幸いです。
(執筆:石原 一樹)