「子供に何か英語をやらせたいけど何から始めるのが一番いいの?」
「友人に『幼児の英語教育にはフォニックスがいいよ』と言われたけど、フォニックスって何?」
「『英語を始めるならフォニックスがいい』と聞いたけど、どうしてフォニックスが優れているの?」
こんな疑問をお持ちではないですか?
お子様の英語教育を検討していれば、恐らく一度は耳にするであろう「フォニックス」。
しかし、「なぜフォニックスが幼児の英語教育において優れているのか?」までしっかりと理解されている方は少ないように思います。
事実、ESL clubにも「フォニックスを始めたいのですが…」「『フォニックスがいい』と聞いたのですが、本当にいいのでしょうか…」といったお問い合わせも多いです。
結論から述べると、お子様の英語教育を始めるにあたって、フォニックスを学ぶことは非常に重要です。ESL clubでも、初めて英語を学習する生徒さんにはまずフォニックスをマスターしてもらっています。
フォニックスをマスターすることで、その後の英語学習の効率が飛躍的に上がるのです。
でも、どうしてでしょうか?なぜ、フォニックスをマスターすることが英語学習の効率化につながるのでしょうか?
本記事では「幼児・子供の英語教育にフォニックスが最適な理由」を説明していきます。
目次
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フォニックスとは「単語の文字と音を結ぶルール」
まずはじめに、フォニックスが何なのかを簡単に説明します。
フォニックスとは「単語の文字と音を結ぶルール」です。
では、「単語の文字と音を結ぶルール」とは何でしょうか?なぜ必要なのでしょうか?
多くの英語学習者が最初に学ぶ「文字と音を結ぶルール」は「アルファベット読み」です。
A:エイ
B:ビー
C:スィー
D:ディー
E:イー
F:エフ
G:ジー
・・・
皆さんもアルファベットの読み方を覚えたかと思います。(英語の発音を正確にカタカナで表現するのは不可能ですが、本記事では便宜的、カタカナ表記を使います。)
しかし、このアルファベット読みを覚えたからといって、英語を読めるようになるでしょうか?
残念ながら、そうではありません。
例えば、
a:エイ
p:ピー
p:ピー
l:エル
e:イー
このアルファベットを繋げると
apple
となります。
しかし、この単語はアルファベット読み通り、
apple:エイピーピーエルイー
と読まないことは皆さんご存知のはずです。
これは、
apple:アップル
と読みますよね?
例えば、”apple”の頭文字である”a”はアルファベット読みでは「エイ」ですが、”apple”という単語で読むと「ア」と読みます。
この「”apple”という単語の中で、”a”は『ア』と読む」といった、単語上での文字と音のルールを学ぶのがフォニックスです。
つまりフォニックスとは「単語(apple)の文字(a)と音(ア)を結ぶルール」なのです。
フォニックスをマスターすることで、アルファベットでは読めない単語を読めるようになるためのツールが手に入るということです。
幼児の英語教育はフォニックスから始めるのがベストな理由!
フォニックスは「単語の文字と音を結ぶルール」だとお話ししました。
では、なぜ幼児向けの英語教育としてフォニックスが注目されているのでしょうか?
理由は以下の3つです。
理由①|英会話に起こりがちな「英語を聞けばわかるけど読めない」を防げる!
「早いうちから英語に触れさせたいから子供を英会話教室に通わせよう。」
こうお考えの方も少なくないでしょう。
しかし、お通いの英会話教室がどういったバランスで英語力を向上させてくれるかをしっかりと理解されているでしょうか?
バランスとは英語4技能のことです。そして英語4技能とは、リーディング・リスニング・ライティング・スピーキングのことです。
多くの英会話教室では、英語の歌を歌ったり、CDのマネをして発音したりと、耳からのインプットに偏りがちです。
つまり、英語4技能のうち、リスニングに偏重しがちだということです。
結果、どうなるのでしょうか?
英会話教室で4技能を意識せずに学んできた生徒さんは、「リスニング力は高いが、リーディングが苦手」という状況に陥りがちです。(例えば、英検5級のリスニングは合格点がとれるのに、リーディングでは全く点がとれない、という状況の生徒さんも少なくありません。)
これはなぜかというと、「音を聞けば意味がわかるが、文字を見ても正しく発音できない」という状態だからです。
以下の図を見てください。
「英語を聞けばわかるけど読めない」という人はこのように、♩apple♩という音を聞くとリンゴのイメージは浮かぶため意味はわかります。(図中①)
しかし、”apple”という文字を見ても♩apple♩という音にできません。(図中②)
(例えば、”apple”という文字を見て「エイ…ピー…ピー…エル…イー…どういう意味?」とアルファベット読みをしてしまう生徒さんがこれに該当します。)
従って、”apple”という文字を読んでも意味がわからない、つまり「英語を読めない」という状況なわけです。
リスニング偏重で読む練習をあまり積まない英会話教室だと、このように「英語を聞けばわかるけど読めない」という状況になるのです。
こういった状況を打開するために有効なのがフォニックスです。
下の図を見てください。
このようにフォニックスをマスターすれば、”apple”という文字を見れば♩apple(アップル)♩と発音がわかるようになります。
そして、♩apple(アップル)♩という発音からリンゴのイメージが湧いて意味がわかれば、「英語が読める」という状態を実現できるわけです。
つまり、フォニックスを学べば単語を発音するルールが身につくため、英会話で陥りがちな「英語を聞けばわかるけど読めない」という状態に陥ることを防いでくれるのです。
理由②|英語習得に欠かせない「多読」をスタートできる!
「多読」をご存知でしょうか?
多読とは、文字通り、「多く読む」学習法です。
「多く読む」とはどういうことでしょうか?
多読の意味は、逆の「精読」を考えてみるとわかりやすいです。
精読とは日本の英語教育で主流だった、英文一文一文の文法、構文、語彙などを調べ理解しながら、精確に読んでいくことです。
一方で多読とは、一文一文の文法や語彙などを調べることなく、多くの英文をどんどん読み進めていく学習法です。一文一文の意味が正確にわからなくても、前後の文脈から予測して大枠の意味を掴んで英文を読んでいきます。
近年、多読が効果的な英語習得法として注目されています。
なぜでしょうか?
理由は、今まで主流だった精読では達成できない学習効果があるからです。
精読は一文一文を細かく読んでいきます。時には日本語で考えながら、読んでいきます。(「これが主語で、これが動詞で…」と考えている時点で日本語で考えています。)
知識を整理しながら英文を精確に読んでいく上で精読は優れていますが、和訳癖が抜けないという欠点もあります。
一方、多読を進めることで、「英語を英語で理解できる」ようになります。
ESL clubでもフォニックスを一通りマスターした後に、多読に移っていきます。
具体的には、以下の「Oxford Reading Tree」という絵本の音読とシャドーイングを進めていきます。
絵本から始めることで、日本語に頼ることなく、英語を英語で理解しながら多読を進められるからです。
しかし、英語が読めないことにはそもそも多読を始めらません。
そこでフォニックスです。
まず最初にフォニックスをマスターしてしまえば、早期に多読を始められます。結果、英語力を大きく上げることができるのです。
理由③|歌やイラストが多い教材が豊富なため、楽しく学べる!
子供の英語教育を検討している方が気になるのは、「子供が楽しく英語学習を続けられるだろうか?」という点でしょう。
例えば、初めて英語に触れるお子さんに文法の参考書を渡したらどうなるでしょうか?
文法の参考書は文字や解説が多く、幼児や小学校低学年の子が英語教育をスタートさせる上で適切とは言い難いです。
もちろん子供の性格にはよりますが、「わからない」「つまらない」と投げ出す可能性も高くなってしまうでしょう。そして、「英語はつまらない」「英語は苦手だ」といった印象を持ってしまうのはあまりにもったいないです。
英語学習を始める段階でが、何よりも「英語は楽しい!」「僕でも(私でも)英語できるかも!」と思ってもらうことが大切なのです。(ただもちろん、「ただ楽しいだけ」をずっと続けているだけでは高い英語力は手にできません。お子様のタイミングに合わせて、だんだんと学習のスタイルも変化させていくことが重要です。)
その点から言っても、フォニックスから英語学習を始めるのは非常に有効です。
なぜなら、子供向けのフォニックス教材には歌やイラストが多く含まれているからです。
例えば、ESL clubで実際に使っている「Sounds Fun!」という教材の中身を見てみましょう。
このようにカラーイラストが多いのが特徴です。
また、付属CDには下の画像のようにアルファベットやフォニックスの歌が収録されています。
Sounds Fun!をはじめ、フォニックス教材にはイラストと曲が多いため、英語に初めて触れるお子様でも楽しく英語学習をスタートできるのです。
【注意点】フォニックスを過信しすぎず、ある程度の段階で卒業すること!
フォニックスは非常に優れたツールですが、過信は禁物です。なぜなら、全ての単語の発音ルールをフォニックスでカバーできないからです。
フォニックスの学習ゴールを「全ての単語を完璧に発音できるようにする」と設定するのは適切ではありません。
なぜなら、このゴールを達成するのはほとんど不可能なため、フォニックスで学習が止まってしまう、もしくは、フォニックスに多くの時間を費やしすぎてしまうからです。
フォニックスを学習する上で設定すべき学習ゴールは「フォニックスのルールを用いて知らない単語の発音を予測できる」とすべきです。
例えば、”perticular”という単語を初めて見たとしたら、「”p”は「プ」、”er”は「アー」、”t”は「トゥ」、”i”は「イ」、・・・」といったように、フォニックスの知識を使って発音を予測できる程度でいいのです。ここで”perticular”を正確に発音できるようになるまで、何度もフォニックスのルールを復習するといった学習戦略はとるべきではありません。
フォニックスはある程度のルールを学んだ段階で卒業し、CDを用いたシャドーイングなどで発音を学んでいくべきです。
この時にフォニックスを一度学習しておけば、発音を予測し、規則を意識ながらシャドーイングできるため、発音の習得が加速されるのです。
あくまでフォニックスは発音を完璧にできるようになるためのツールではなく、発音を習得する上でのサポートツールとして学習していくべきなのです。
(詳しくはこちらの「実は有害?フォニックスとの適切な関わり方」を読んでみてください。)
まとめ
いかがでしたでしょうか?
本記事では幼児の英語教育においてフォニックスが有効な理由をご説明してきました。
フォニックスはうまく学習すれば、その後の英語習得をサポートしてくれるツールになります。
ただし、フォニックスを過信せずに、ある段階になったら次のレベルに移ること。これが大切です。
ぜひフォニックスを効果的に学習し、英語習得を達成してください。