海外留学って、ホントに意味あるの?-西本豪さん×岡山太対談【前編】

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語学や海外文化に興味がある方なら、一度は留学を検討したことがあるのではないでしょうか。しかし、費やす時間やお金を考えると、気軽に行けるものでもないのもまた事実。「留学って、本当にコストに見合う価値があるの?」と思っている方も多いと思います。

 

そこで今回は、留学エージェント「ココア留学」の代表で、これまで7,000人以上の留学相談に乗ってきた西本豪さんをお招きし、留学の価値を伺いました。聞き手はESL club事業責任者の岡山。開口一番、「留学最高!って結論ありきの記事なんて一番おもしろくないですよね」というブッ込みから、忖度なしの対談がはじまりました。

 

<西本豪さんプロフィール>

海外留学やワーキングホリデーをサポートするエージェント「ココア留学」代表。16歳での初留学を皮切りに、留学、ワーホリ、バックパッカーとして多くの国を渡り歩いた経験の持ち主。27歳時にはカナダで会社を設立・CEOに就任し、ココア留学の前身となるサービスを立ち上げる。現地従業員に事業譲渡後、日本に帰国。IT事業と並行する形でココア留学サービスを開始。現在までに7,000人以上から海外留学相談を受ける。

 

<岡山太プロフィール>

英語を教えない英語塾「ESL club」事業責任者 兼 個別指導No.1明光義塾英語教科責任者。大学院生時代にJAXAにて高校生向け教育プログラム「きみっしょん」のリーダーを経験したことから、「教育を変えたい」と考え教育業界へ。長期留学経験なし、国内独学で英検1級・TOEFL iBT 100点を達成。自身の英語学習経験を生かし、ESL clubのオリジナルカリキュラムを構築。二児の父。

 

 

留学を絶賛するだけの記事なんて、つまんない

岡山太(以下、岡山):留学エージェントの代表と、英語教室の関係者の対談ということで、読む方たちは「どうせ留学を大絶賛して終わりでしょ?」と予想してると思うんですが、そんな記事つまんないなと思っていて。予定調和を壊していきましょう。
正直、すべての人が有意義な留学ができているとは思えなくて。西本さんはその辺、ぶっちゃけどう思われますか?

 

西本豪さん(以下、西本さん):そうですね。あまり有効じゃない留学もありますね。

 

岡山:よかった。前提認識が合っていて。

 

西本さん:ただ、しっかり設計された留学なら、他のどんな教育や体験からも得られない学びがあるのも間違いないと思っています。

 

岡山:もちろんです。私も留学経験あって、私にとってはすごく意味がある経験だったなと思っていますから。その差がどこから生まれてくるのか、どうすれば留学の価値を最大化できるのか、今日はいろいろ聞かせてください。

 

西本さん:ぜひぜひ。留学プラン自体の問題だけじゃなく、留学に行く本人の年齢や状況、保護者の方の心構えなんかにも触れられればと思ってます。私が実際に留学に送り出した子どもたちの例も出しながら、できるだけ具体的に話しますね。

 

日本と世界の違いを知ることで、判断軸が生まれる

西本さん:どうすれば意味のある留学にできるのか?という話の前に、岡山さんにとっての留学の意味って何ですか? 人によってそこがけっこう違うので。

 

岡山:そうですね。一般的には英語力向上とかいろいろあると思うんですけど、私の場合は、常識ゆさぶられ体験みたいなものが一番の価値だと思ってます。日本で当たり前とされてることが海外だと全く当たり前じゃないことを発見して、ヒャーッてなる瞬間。そこに一番の価値があると思いますね。

 

 

西本さん:それって例えば、どんな体験ですか?

 

岡山:大学院生時代にケンブリッジに留学したのですが、ちょうど日本の友達が就活をしている時期だったんです。そこで好奇心から、ケンブリッジ生はどんな就活をするのか聞いてみたんです。世界でもトップクラスに優秀とされている大学だから、さぞかし素晴らしい就職活動をして、さぞかし素晴らしい企業に入るんだろうなって考えていたら、まったく違っていて。

 

「1年くらい旅をする」って答えたんです。イギリスではギャップイヤーっていう考え方があって、卒業後すぐ働かずに、自分がこの先何をしたいのかをゆっくり考える時間をつくることが多いのだそうです。

それを聞いて「卒業したらすぐ働かなきゃいけない」とか「新卒一括採用」なんていうのは、思い込みや日本だけの常識なんだって気づいたんです。別にイギリスが良くて日本がダメとかじゃなくて、今まで当たり前と思ってたものが当たり前じゃないことに気づけたのがよかったな、と。

 

西本さん: 私も同じような考えです。いろんな経験をすることで、もの考え方が広がるっていうのは一番大事なポイントだと思っています。
いきなりですけど、岡山さん、好きなラーメンってありますか?

 

岡山:ラーメンですか? 与野本町駅にある、つけ麺のハモニカです。

 

西本さん:いい答えしてくれますね(笑) ここまで具体的に答えられたのって、今までいろんなラーメンを食べて来た経験があるからだと思うんです。つまり、好き嫌いとか良し悪しを判断するのには、経験値が必要だということです。


で、留学の話に戻すと、日本の大学生のうち留学を経験する人ってどれくらいいるかっていうと3%だそうです。97%は、海外で暮らした経験なしに、ネットとか本の知識だけでの判断軸しか持っていないんです。それじゃあ深い判断なんてできないですよね。だから私は、できるだけ多くの人に海外を経験してほしいなと思っているんです。

目的意識が留学に価値を生む

岡山:でも、留学に行ったら自動的に視野が広がるわけではないですよね。別に悪口が言いたいわけじゃないですが、ボーッと過ごしてしまう方もいるじゃないですか?

 

西本さん:はい、正直いらっしゃいますね(笑)別に海外でも、引きこもろうと思えば引きこもれちゃいますからね。YouTubeばっかり見てるなんてことも、起こりうる話なので。

 

岡山:その差ってどこで生まれるんでしょうか? 貴重な時間とお金を使う留学なので、できるだけ差分というか、行く前後の変化感が大きいほうがうれしいですよね。どういう人が大きく変化できて、どういう人が台無しにしちゃうんでしょうか? 

 

西本さん:いろんな要素があるとは思いますけど、一つ確実に言えるのは、計画性を持った留学プランを最初に用意できているかどうかですね。留学で何を得たいのか、目的は人によって違うはずですよね。だから本来は留学プランって、1万人の留学希望者がいたら1万通りのプランがつくられるべきなんです。また、その目的がどのくらいのハードルになるのかも、考えなくてはなりません。ある人にとっては小さなステップでも、ある人にとっては大きなステップですから。


ココア留学に相談に来る子たちを例に挙げると、不登校や引きこもりの子たちからのニーズがけっこうあるんです。日本の学校に通えない子たちが、海外の学校なら行けるようになることもあって。それってものすごい成功体験なわけです。岡山さんの体験と比べるとレベルが低いのかもしれませんけど、彼ら彼女らにとっては、すごく大きなことですよね。

 

岡山:なるほど。人それぞれの状況によって、どんな変化を求めるかも変わるわけですね。

 

問題に直面している人ほど、分かりやすい変化がある

岡山:この子は(留学前後で)変わったなあっていう子はいますか?

 

西本さん:具体的な問題に直面している子ほど、明確に変わって帰ってきます。例えば、日本でずっとフリースクールに通ってた大人しい女の子が、留学から帰ってきたらものすごくお喋りになったんです。その子は最初、留学にも消極的だったんですけど、ピーターパンが好きで、ゆかりの地のロンドンだったら行きたいって言って。


留学前の相談に来たときは、お母さんに付き添われてほとんどしゃべらないような子だったんですけど、帰ってきてからは一人でやって来て2時間くらい喋っていくようになって。来年から女子高生になるそうです。

 

岡山:ものすごい変化ですね、それは。変えたいっていう意識がはっきりしているのが良かったんでしょうね。

 

西本さん:そうですね。逆もあって、やんちゃな子が変わるきっかけにもなるんですよ。この前、親御さんから電話がかかってきてつい笑ってしまったのが、留学先から帰ってきた息子が皿を洗ってるんですって報告があって。手伝いなんかする子じゃなかったので「どうして?」って聞いてみたら、ホームステイ先で皿洗いを任されていたらしいんですね。それで、皿洗いってけっこう大変なんだって気付いて、家でもやるようになったそうです。

 

岡山:それはうれしいですね。

 

西本さん:あとは、実際に留学に行くのはまだこれからなんですが、きっと有意義に過ごしてくるんだろうなと思っているのは、あるハーフの女の子ですね。その子はお父さんは南アフリカのご出身で、肌の色が日本人とは違うんです。当然、娘さんも見た目は外国人。日本だと、初対面で「英語喋れるんでしょ」とか「足速いんでしょ」とかって言ってくる人がけっこういるみたいで。

 

岡山:それはウザいですね。

 

西本さん:そうですよね。今は高校1年生なんですけど、もう日本の高校なんて死んでも行きたくないって言ってて。でも、海外であれば、そういったウザさからも解放されます。留学はそういう子たちの助けにもなり得るんだっていうのは、私にとっても新しい発見でした。

 

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短期間での大変身だけが留学の価値じゃない

岡山:こんなにも大きく変わる体験って、他になかなかないですよね。

 

西本さん:そう思います。ただ、一方で保護者の方にご理解いただきたいのは、短いスパンでの変化だけが留学の全てじゃないですよってことですね。1週間の留学に行って帰ってきた子がどれくらい変わってるかっていうと、ものすごく変わる子もいれば、変化の小さい子だっています。

 

でも、一見あんまり変化がない子でも、長いスパンでみると確実に何か残っているはずなんです。
具体例を挙げると、留学経験のある子は、ない子に比べて海外で住んだり働いたりすることへの抵抗が圧倒的に小さいですね。小学生のころにオーストラリアに短期留学した子が、20代後半になって海外で働くことに興味を持ったとき、「オーストラリアのあの街だったら知ってるし、行けるかも」って考えることもあり得るわけです。そういう背中を押してくれるような記憶って、大人になってからじゃお金を出しても手に入りません。じゃあ、その原体験をいくらで買いますかっていう視点もあっていいのかなと思います。

 

岡山:それって旅行じゃダメなんですか?

 

西本さん:旅行って、すべて守られてるんですよね。添乗員さんが常に付いて来て、あれしてくださいこれしてくださいって全部決まってるじゃないですか。自発的にしたことじゃないので、記憶に残らないんですよね。
例えば、岡山さんがロンドン留学の話をしても、ビッグベンの話は出てこないじゃないですか。きっとビッグベンにも行かれてると思いますけど。

 

岡山:たしかに! ビッグベン含め、観光地はめちゃくちゃ行ってました。けど、どこに行ったっていうのは覚えていても、そこでヒャーッて体験(常識ゆさぶられ体験)をした覚えはあんまりないですね。

 

その後の人生、英語の勉強時間がゼロになる

岡山:留学に行く年齢はどれくらいが最適ですか?

 

西本さん:小学校の高学年で、まずは一度短期留学に行っておくといいですね。子ども自身の吸収力が高いっていう意味ではもう少し早くてもいいと思うんですが、そのくらいの年齢(小学校低学年〜中学年)って一番手がかかるから受け入れ先が少ないんですよ。

 

岡山:なるほど。小学生だと中学生と違って、「部活」「定期試験」「思春期」っていう留学の三大ハードルが始まる前だから行きやすそうですね。

 

 

西本さん:小学校での留学の目的は、まずは海外に抵抗をなくすくらいの感覚でいいと思うんです。で、中学に入ったらロングで行けるといいですね。できれば1年くらい行けるともう最高ですね。特に現地校に1年間通えると、それだけで人生勝ち組だと思います。

 

岡山:それは何でですか?

 

西本さん:まず1つは、それ以降の人生で英語の勉強をしなくて済むからです。英語の勉強に費やす時間ってめちゃくちゃ長いじゃないですか。中学高校6年間、学校の授業だけで数百時間、受験勉強も合わせたら何千時間としなくてはならない勉強がいらなくなるんです。その時間を何に使ってもいいって、ものすごいアドバンテージですよね。

 

岡山:大学入試の英語なんかは、ある程度喋れるレベルで、すでにもうトップクラスですもんね。

 

西本さん:もっと言えば、大学生や社会人になってからもですね。中学1年あればネイティブレベル、少なくとも高校で英語教えられるくらいにはなれちゃうので。それ以降は英語の勉強してるって感覚はなくて、英語使って生活してるっていう感じになるんじゃないかと思います。

 

働く国、選びホーダイ

西本さん:もう1つの理由は経済的な環境の変化ですね。実は今、日本と海外とで給料の差がえげつないことになっているんです。例えばオーストラリアのアルバイトの最低自給って、いくらだと思いますか?

 

岡山:1,500円くらいですかね。

 

西本さん:もっとですね。だいたい1,900円から2,000円くらいだと言われています。そうなると、日本で働く理由は薄まっていきますよね。

 

岡山:留学経験があると、もっと条件のいい国で働ける可能性が高まるというわけですね。それって英語力だけの問題ではないんですか?

 

西本さん:個性を伸ばすような教育が受けられるというのも、大事なポイントだと思います。日本はこれまで同じような能力の人をたくさん育てるような教育をしてきましたが、社会で求められる人材は変わってきていますよね。尖った能力を持ったレアキャラが重要なポジションを任されて、万遍なく何でもそこそこあ人材は替えの利く駒のようになってきています。


人と同じことをしても意味がない、人と違う経験をどれだけしたのかが価値になるという時代になってきていて、海外ではそれが教育現場にも浸透しています。イギリスの友人から聞いたのですが、小中学校の時点で人と違うことが価値になることを徹底して刷り込んでいくし、大学の入学基準も学力より経験を見るそうです。

 

岡山:「違いに価値を置く教育」の話は興味深いですね。もっと詳しくお聞きしたいのですが、長くなりそうなので、一旦ここで留学の価値についてまとめさせてください。
すべての留学に意味があるわけではないので、ちゃんと設計しないともったいない。常識が覆ったり、視野が広がったりする体験をしておくと、その後の人生の糧となる。留学で身に付けた英語力や、広い視野、個性は、人生の選択肢を広げてくれる。ということでいいでしょうか?

西本さん:そうですね。

 

岡山:人生、選びホーダイってことですね。ちょっと唱和してみましょうか。
留学の価値、ちゃんと設計すれば……

 

西本さん・岡山:人生選びホーダイ!

 

西本さん:語呂がいいですね(笑)。

 

<前編おわり>

 

留学の価値をゼロベースで議論し合った対談は「(ちゃんと設計された)留学をすれば、人生の選択肢が増える!」という結論に。ただ漫然と過ごすだけでは得られるものは少ないけれど、本気で取り組めば人生を変える可能性もある留学。もし行くのなら、有意義に過ごしたいものですよね。

 

さてさて、当初のテーマを話し終えましたが、教育に情熱を注ぐ二人の話は尽きず、より大きなテーマへと話が膨らみます。「違いに価値を置く教育」について話す後編も、ぜひご覧ください。

 

(執筆:田中ヤスヒロ)

 

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